福岡県レッドデータブック

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種の解説

外来魚問題

現在,福岡県には数種の外国産の魚類が定着している。これらの国外外来魚のうち,3種については環境省の外来生物法下で特定外来生物に指定され,移動や飼育が制限されている。そのうち,オオクチバスやブルーギルは在来魚類に対する食害が,カダヤシについてはメダカとの競争が懸念されており,有明海沿岸域のクリーク地帯では,カダヤシが移殖されたエリアでメダカが出現しない傾向が確認されている(鬼倉ほか,2008)。また,外来生物法で要注意外来生物に挙げられているタイリクバラタナゴについては,ニッポンバラタナゴと容易に交雑することが知られており,近年,福岡県内でも紫川,多々良川などで両亜種の交雑個体が見つかりはじめた(三宅ほか,2008)。最近のモデル解析の結果から,福岡県内のニッポンバラタナゴの分布域の多くは,タイリクバラタナゴの侵入リスクが高く,また両亜種の交雑リスクが高いことが示されており(Onikura et al., 2012,2013),水産種苗へのタイリクバラタナゴの混入防止や観賞魚の遺棄の禁止など,その分布拡散の予防がニッポンバラタナゴの保全上,極めて重要になる。

水産種苗の放流に交じり,非意図的に生息地外に定着したいくつかの魚種は,近年,国内外来魚として注目されている。福岡県下でもハスやワタカをはじめとする数種の国内外来魚の定着が確認されている(日本魚類学会自然保護委員会,2013)。筑後川にはギギが,遠賀川にはビワヒガイが既に定着しているが,実はそれぞれの河川に在来近縁種のアリアケギバチ,カワヒガイが生息しており,今後,競争や交雑などの問題が生じる可能性がある。また,タモロコなどは養殖魚が天然水域に逸脱した可能性が疑われる。水産種苗への混入防止や養殖魚の逸脱防止などを徹底しなければ,数種の在来純淡水魚類の絶滅リスクは軽減できないだろう。

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