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種の解説

エツ

学名:Coilia nasus Temminck & Schlegel

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RDB2001概説

画像:有明海湾奥部とそこに流入する河川の感潮域のみに生息する魚。エツ。

田島正敏

分類群 魚類
目名 ニシン目
科名 カタクチイワシ科 Engraulidae
RDB2001カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類
環境省カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類
県内地域カテゴリー 豊・筑-分布なし,有-絶滅危惧Ⅱ類
生息状況・危機の状況・選定理由

有明海湾奥部とそこに流入する河川の感潮域のみに生息する。全長40㎝ほど。現在,河川での主な生息域は筑後川の河口から筑後大堰までの23kmとごく限られた区間で,親魚が遡上し再生産が行われている。主な遡上は5~7月で,9月まで続く。産卵場は大堰から下流天建寺橋までの約4の狭い範囲と推定され,産卵盛期は6,7月である。5~7月にエツ流し刺網漁が許可されており,観光漁業として広く知られている。しかし,親魚の漁獲圧が高い上,遡上前にも規制外の海面で漁獲されること,また河川流量や河床質の変化などで微妙な条件を要する再生産が危ぶまれることから,資源の減少が憂慮される。ただ,許可期間の短縮や受精卵の放流など,一定の増殖努力も払われている。

分類・形態

日本では1属1種である。体は銀色で偏平して長く,大きな円鱗をもつ。吻が突出し,主上顎骨が後方に長くのびる。胸鰭の軟条が糸状に長くのび,臀鰭が長い。

分布(県外)

佐賀の六角川,長崎の本明川で仔魚や卵の採取記録がある。

分布(国内)

エツ属として東および東南アジアに13種が分布

生活史・生態・生息地

遡上親魚が感潮域の上流部で産卵する。卵は浮遊卵で,卵径約1mm。受精後約19時間で孵化する。仔稚魚は感潮域で動物プランクトンを食べて成長し,9,10月以降,110~150mmになって海域へ移動する。以後の生態は不明だが,湾奥部の浅海域に生息し,冬は外海寄りにすむと考えられている。産卵主群は,2歳以上の雌,2~3歳の雄で構成される。

生息環境
  • 河川
  • 河口・干潟
執筆者 (稲田)
補足情報

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