保環研ニュース 第42号 2001.2
![]()
![]() |
ジュニア・サイエンスフェアー風景 (水・サバイバルゲーム) |
目次
報 告
ジュニア・サイエンスフェアー
| * その他のイベント * ★記念プリクラ ☆ホームページ検索 ★ウイルス・ウルトラクイズ ☆調べてみよう!食品添加物 ★聴能力を身につけよう ☆生物のかたち ★ダイオキシン博士になろう ☆顕微鏡をさわってみよう |
福岡県では、青少年をはじめ広く県民の皆さんに科学への理解と関心を深めてもらうことを目的に、毎年11月を「フクオカ・サイエンスマンス(科学技術創造月間)」とし、各地で様々な科学関連のイベントが行われています。
当研究所でも、特に次世代を担う小中学生を対象に、保健と環境について触れ合う機会を提供し、より身近に感じてもらうために平成12年11月11日(第2土曜日)にジュニアサイエンスフェアを開催しました。当日は、天候にも恵まれ小中学生95名を含む221名の参加者がありました。イベントは全て職員の手作りによる身の回りにあるものを用いた体験型のものや、クイズ形式によるものなど12種類が企画され、いずれも大盛況でした。来場者からも“おもしろかった”“勉強になった”等の声が多く聞かれ、日常業務とは違ったかたちで県民のみなさんに役立つことができたのではないでしょうか。
(研究企画課)
![]() |
![]() |
![]() |
| サッカーロボで分別収集 | 牛乳パックでリサイクル | かんたんにできる大気の測定 |
特 集 炭素を用いた環境浄化の試み
水をきれいにする竹炭入り護岸ブロックの開発
![]() |
|
| 写真1 竹炭入り護岸ブロック | |
近年になって、ほとんどの川の護岸は、三面側溝となり、自然生態系が破壊され、川の自浄能力(汚れた水が川を流れる間に自然にきれいになる能力)は低下した。この反省から、徐々に護岸に植物を植栽する事例などがみられるようになった。しかし、治水などの理由により、いまだ三面側溝護岸の川は多数あるのが現状である。ところで、竹類の需要が減少するなかで、竹林の放置、繁茂が社会問題化しており、新しい有効利用方法が求められている。そこで、竹の新しい利用方法の開発と植物の植栽などを行うことのできない川の水をきれいにすることを目的として、工業技術センターインテリア研究所と共同で、低下してしまった川の自浄能力を高める竹炭入り護岸ブロック(間知〔けんち〕ブロック)を開発した。これは、竹炭を重量比30%、モルタルを70%の配合比でドライミックスした後、作製したものである(写真1)。このブロックは、JIS規格を満足していた。
従来より、炭は水質浄化能を有することが知られているが、それは、炭の高い吸着能を利用したもので、川の中などに浸しておくと、すぐに飽和し、交換しなければならない。よって、半永久的に使用する間知ブロックでは、交換が不可能であることから、炭の使用は難しいと考えられてきた。
ところで、川や池などの水は微生物などの働きによってきれいになることが一般的に知られている。そこで、炭の水質浄化への新しい活用方法として、汚れを炭に吸着させることによって水をきれいにするのではなく、水をきれいにする微生物などの生物の棲みかとして炭を利用することを提案し、炭を間知ブロックに利用することを可能とした。
竹炭の入ったコンクリートでは、どのくらい生物が付着するかを調べるために、竹炭入りコンクリート及び竹炭の入っていないコンクリート(以下、普通コンクリートと記す)の試験片(写真2)を池に約3か月間浸漬し、生物の付着量を観測した。竹炭入りコンクリートは普通コンクリートと比較して約3倍の付着生物量が測定された。また、この試験片を用い、水質浄化効果を検討した結果、竹炭入りコンクリートを用いた方が、実験開始後2〜10時間でBODが10〜30%低い値であったことから、今回開発したコンクリートは、従来のものと比較して、水質浄化効果が高いことが示された。
開発した竹炭入りコンクリート護岸ブロックは、特許出願中である。また、環境浄化のための新製品として、テレビ、新聞、雑誌などでもとりあげられ、あさひ中小企業振興財団第12回「中小企業優秀新技術・新製品賞」の技術・製品部門奨励賞を受賞した。現在、志摩町の火山川(写真3)での試験施工をはじめ、福岡県内では福岡市、久山町、大川市、篠栗町などで施工されており、熊本県、大分県及び佐賀県でも施工実績がある。
(廃棄物課 徳永隆司、水質課 中村融子)
![]() |
![]() |
|
| 写真2 竹炭入りコンクリート(左)と普通コンクリート(右) | 写真3 施工事例(火山川) |
特 集 炭素を用いた環境浄化の試み
高活性炭素繊維利用による環境汚染物質の除去
![]() |
|
![]() |
|
炭素繊維は、石炭及び石油系のピッチ、パーアクリロニトリル、セルロース等を加熱して溶かし、ノズルの先端から引っ張り出して固化させた、黒い髪の毛状の繊維である(写真参照)。この直径約10μmの炭素繊維を、窒素やアルゴンガス中で水蒸気や二酸化炭素と共に600〜900℃に加熱し、炭素繊維表面に、細孔径、約5Å、深さ1μm以下の無数の微細孔を開けることで高活性炭素繊維(ACF:Activated Carbon Fiber)となる。これらACFは、さらに、800〜1200℃の温度範囲で焼成条件をうまく選択すれば、ACFの炭素構造及び細孔が変化し、目的とする化学物質を吸着、分解する性質を最大に引き出すことが可能となる。そのため、現在、各研究所で、その吸着活性に関する基礎研究が盛んに行われている。
ACFは、化学物質を単に吸着する以外に、吸着した化学物質を酸化、還元する能力を併せもっている。例えば、パーアクリロニトリルを原料とするACFでは、窒素酸化物が吸着されやすく、その炭素表面で亜硝酸から硝酸へと酸化されることが分かっている。一方、アンモニアガスが存在すれば、窒素酸化物は無害な窒素ガスと水に還元、分解できることも分かってきた。これらの反応は、ACFの化学構造、炭素表面に吸着した成分間の相互反応に強く依存している。ACFの微細孔に予め、ある種の化学薬品を含ませておくことで、例えば、ホルムアルデヒド類に、選択的に高い吸着活性を示すような技術も開発され始めている。
ACFの特徴を酸化チタン触媒と比較させて表1に示した。酸化チタン触媒は光照射のもと、窒素酸化物を始めとする化学物質を吸着、分解できる夢のような素材として、近年、脚光を浴び、ブロックあるいは塗料として利用されている。これに対して、ACFは、太陽光等の光照射を必要としない。そのため、室内や地下街、地下駐車場、トンネル内等で使用できる利点があり、筒状、フェルト、織物、ペーパー等、ユーザーの要望に合わせた加工が容易である。そのため、酸化チタン触媒との併用により戸外での、窒素酸化物に対する昼夜連続の吸着、分解効果にも期待がもたれている。ACFは窒素酸化物以外に、硫黄酸化物、微量化学物質の吸着、分解についても期待されている。悪臭物質あるいはハロメタン、ダイオキシン、PCB等の塩素化合物は、健康、遺伝子への影響が懸念されているが、ACFに捕捉後、低温加熱することで塩素が離脱し、それら化学物質を低コストで分解、無害化できる可能性が高い。内分泌撹乱物質は、その大部分が極性化合物であるため、ACFに捕捉されやすい物質と考えられている。
一方、ACFは河川等の水系にも利用でき、農薬等の微量有害物質の除去技術等に応用できる。ACF表面は生物活性が高く、藻類等が発生しやすい特性をもっている。そのため、大気浄化に繰り返し利用した後のACF廃材については、溶脱試験による安全性を確認後、河川等で利用し、水質浄化に再利用する道が期待できる。製糸が可能であれば原理的には、廃プラスチック等のいかなる有機物からでもACFを調製でき、リサイクルを目的として、古着等の繊維をACF原料として再利用する技術が期待できる。
(大気課 下原孝章)
| 高性炭素繊維(ACF) | 酸化チタン触媒 | |
| 太陽光等の光照射 | 不必要 | 必 要 |
| 窒素酸化物の吸着,分解能 | 高 い | 非常に高い |
| 能力維持期間 | 表面積依存,限界あり | 半年に1回程度のメンテナンス |
| 価 格 | 比較的安い | 高 い |
| 最適温度 | 室 温 | 室 温 |
| 微量化学物質の除去能 | 可能性が高い | 一部あり |
| 窒素酸化物の吸着分解生成物 | 窒素ガスと水あるいは硝酸 | 硝 酸 |
| 使用後の廃材利用の可能性 | 高 い | 低 い |
| 河川,排水等への応用 | 高 い | 低 い |
| 加工し易さ | 容 易 | 難しい |
連 載
福岡県の川の生き物 −水辺の観察ガイド−(11)
ホタル科
河川環境保全のシンボルとされることも多いホタルですが、幼虫は見たことがない人も多いでしょう。普段は砂の中などに潜っていることが多いために、ホタルが生息している河川で行う水辺教室でも網を使わないとあまり採集されません。私たちがよく見かけるホタルはゲンジボタルとヘイケボタルの2種です。終齢幼虫(蛹〔さなぎ〕になる前の幼虫)ではヘイケボタルの方がより小さく、また前胸部の模様が異なっていることで区別できますが、小さな幼虫では区別は困難です。
ゲンジボタルが河川に生息しておりカワニナを餌としているのに対して、ヘイケボタルは農業用水路などの小さな水路や水田に生息しておりモノアラガイやサカマキガイを餌としています。ゲンジボタルはきれいな川からややよごれた川まで見つかりますが、ヘイケボタルのほうはもう少し汚れた水でも生息しています。ホタルといえば幼虫は水生という印象が強いのですが、日本に生息する40種以上のホタルのうち、上記の2種以外の大部分のホタルの幼虫は陸上で生活しており、カタツムリなどの陸上の巻貝を食べています。水生のホタルも川岸の土中で蛹になるために、完全にコンクリートで固められた護岸では生息不可能ですが、最近ではホタルの生育を考慮した護岸工事が行われるようになっています。
(環境生物課 緒方 健)
![]() |
![]() |
|
| ゲンジボタル (終齢幼虫では体長20−30mm) |
ヘイケボタル (終齢幼虫で体長15mm程度) |
報 告
保健環境研究所成果発表会を終えて
去る2月7日、福岡東総合庁舎5階大会議室にて第6回福岡県保健環境研究所成果発表会を開催しました。“21世紀につなぐ健康と環境”をテーマに「ダイオキシン類による環境汚染−大牟田川における事例−」「人体のダイオキシン暴露とその排泄促進について」「竹炭入りコンクリートとシュロガヤツリによる水質浄化と生態改善」「衛星データによる二酸化炭素吸収源の評価法の検討」「食中毒の時代的変遷と今後の課題」「ウイルス性食中毒について」「環境マネージメントシステムの構築」の発表をおこないました。当日は、雨天にも関わらず、各方面から多数のみなさまのご参加をいただき盛況のうちに会を終えることができました。
(研究企画課)
![]() |
![]() |
|
発行日 平成13年2月 |
・当サイトのコンテンツを無断転用することを禁じます。 ・当サイトへリンクする時は電子メール等でお知らせください。 本ホームページの著作権は福岡県保健環境研究所に所属します。 Copyright (C) 2002 Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences. All Rights Reserved. |