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第57号 
2006.6
福岡県保健環境研究所
(編集発行)研究企画課
(報告)福岡県試験研究機関合同パネル展 (研究トピックス)平成18年度の研究課題 (最近の話題)大気浄化技術に対する新たな取り組み
口絵写真 (報告)ISO14001更新審査 (研究トピックス)研究課題の解説 職員の紹介 (連載)食中毒を起こす細菌たち−土にいる食中毒細菌−

■連載  食中毒を起こす細菌たち ―土にいる食中毒細菌―(3)最終回
 土にいる食中毒細菌はボツリヌス菌,ウェルシュ菌及びセレウス菌が代表的で,ヒトの生活環境をはじめ自然環境に広く分布しています.これら3種の細菌は,増殖時は栄養細胞(グラム陽性桿菌),増殖停止時は芽胞という形態をとります.食品中では主に芽胞として存在し,好条件が与えられると栄養細胞となり旺盛に増殖します.芽胞は乾燥,熱,薬品などに対して非常に抵抗性が強く,環境での長期間生存します.また,ボツリヌス菌及びウェルシュ菌は,酸素の無い状態(偏性嫌気性)で発育します.

ボツリヌス食中毒は,缶詰や容器包装に詰められた食品中で本菌が増殖し,神経毒であるボツリヌス毒素が産生された場合に発生します.発生は稀ですが,一旦発生すると死亡する事例もあり,危険性の高い食中毒です.

ウェルシュ菌食中毒は,シチューや煮物などの原材料(野菜や魚肉類など)に付着した本菌が,加熱後も生き残り,不適当な保存により本菌が増殖した食品を摂食した場合,腸管内で産生された毒素により発生します.ボツリヌス菌とウェルシュ菌の出す毒素は,熱に弱いので食べる前に加熱することにより予防することができます.

セレウス菌食中毒は,ボツリヌス菌同様食品中で毒素を出す「食物内毒素型」とウェルシュ菌のように腸内で増殖する過程で産生される毒素によって起こる「生体内毒素型」があります.日本では「食物内毒素型」食中毒がほとんどで,多くは「焼きめし」や「スパゲッテイ」などの穀類を原因として発生しています.

 土に由来する食中毒の予防は,食材に付着した菌を物理的に洗浄除去すること及び肉などに付着させないこと,並びに他の食中毒予防同様調理後直ちに食べるかあるいは適切な冷却保存をすることが重要です.

ボツリヌス菌芽胞(電子顕微鏡写真) ボツリヌス菌芽胞(電子顕微鏡写真)
(a:芽胞 , b: 栄養細胞)
(帯広畜産大学 応用獣医学講座 提供)

ウェルシュ菌(グラム染色)ウェルシュ菌(グラム染色)
(a: 栄養型グラム陽性桿菌, b: 芽胞)

セレウス菌(電子顕微鏡写真)セレウス菌(電子顕微鏡写真)
(株式会社ヤクルト本社 中央研究所 提供)