福岡県感染症発生動向調査情報

第7週分(2月14日〜2月20日)

A型肝炎

第7週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザは前週比53%と半減しており、感染性胃腸炎、水痘は増加傾向にあります。

そこで、今週はこれから5月にかけて増加が予想されるA型肝炎についてお話しします。

A型肝炎は、上下水道の整備されていない衛生状態が良くない地域で見られた感染症です。20年前の日本ではほとんどの人が感染する一般的な感染症でしたが、生活環境の整備に伴って感染する機会はほとんど無くなりました。現在では季節的な小規模な発生に加え、海外での感染による発生が見られます。  

原因となるA型肝炎ウイルスに汚染された生水や食品、特に生の貝や魚を口にすることで感染します。また、患者の便の中にウイルスが含まれるため、これに汚染された手を介して感染することもあります。なお、一度A型肝炎に感染すれば、再度感染することはありません。

症状は、急な発熱で始まり、38度以上になります。熱は3〜4日持続し、この間に全身倦怠感、食欲不振、吐き気、腹痛、下痢、尿が濃くなる等の症状が出現します。さらに黄疸が認められますが、これらの症状は7〜10日で軽くなります。一般に小児は軽症で症状が現れない場合もありますが、成人ではほとんどの場合に症状が現れ、重症化する事もあります。

3月の卒業時やゴールデンウイークに海外へ旅行を計画されている方も多いと思いますが、途上国などではA型肝炎がなお広く見られる地域があります。このような地域へ旅行する場合は、生水や、生ものを口にしないようにしましょう。また、家族内に患者が発生した場合は食事の前の手洗いを心がけましょう。海外での流行状況や予防接種に関する相談は福岡検疫所で受付けていますので希望される場合は問い合わせてみてください。

その他海外感染症情報等を提供しているホームページ

・国立感染症研究所感染症情報センター
 http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

・ 成田空港検疫所
 http://www.narita-airport.or.jp/quarantine/

・ A型肝炎の予防接種
 種 類:不活化ワクチン
 対 象:16才以上
 接種方法:筋肉、または皮下注射
 初回接種後2〜4週間隔で2回目
 初回接種後6ヶ月後3回目
 効 果:接種後4週間後より効果
 効 果:2回接種は約1年
 持続期間:3回接種は4〜5年

問合せ先 福岡検疫所092-291-3585