福岡県感染症発生動向調査情報

第9週分(2月28日〜3月5日)

ウイルス性胃腸炎

第9週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザは毎週半減しており、感染性胃腸炎はさらに増加し、水痘(すいとう)は増加傾向にあります。そこで今週は、感染性胃腸炎の中でも多くを占めるウイルス性胃腸炎についてお話します。

ウイルス性胃腸炎は例年1月頃に発生のピークを迎えます。今年は3月になっても増加傾向にありますので注意が必要です。

ウイルス性胃腸炎は患者の便などの排泄物によって汚染された食品等を介して感染します。症状は、腹痛や下痢、嘔吐(おうと)などで、一般的には数日で症状は消失しますが、まれに重症化することもあり、十分な注意が必要です。特に、小児では、水分をうまく摂取できず、脱水症を起こしやすいため、オシッコが濃くなったり、元気がないときは、なるべく早く医療機関を受診しましょう。家庭での水分の取り方や食事ついては、表を参考に”便の状態と同じようなものを与える”と覚えておくと良いでしょう。

また、最初吐き始めたときは何を飲ませても吐くので何もやらない時間(数時間)をとることも必要です。さらに、この時期のミルクや牛乳、ヨーグルト、プリン、アイスクリームなどの乳製品、かんきつ類、炭酸飲料は嘔吐や下痢を誘発しやすいので避けたほうが良いでしょう。

平成10年の食中毒統計によるウイルス性胃腸炎の感染は、123件報告されています。原因食品が分かったものとしては、貝類が30件で最も多く、とくに生カキに関連した事例が多くなっています。ただし、大規模な患者発生事例では、給食や仕出し弁当による場合が多く、最も多く患者が発生した事例では、5月に岐阜県の飲食店の給食弁当で1,196人の患者が発生しています。

予防法として、食品を扱う人は手指の清潔を心がけ、手洗いを十分に行うことが必要です。また、食品は中心部までしっかりと加熱し殺菌することが大切です。なお、保育所や幼稚園、高齢者福祉施設などでは、患者から患者への2次感染もおこることがありますので、とくに注意が必要です。