福岡県感染症発生動向調査情報

第10週分(3月6日〜3月12日)

結核

第10週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎、水痘の増加が止まっています。

さて、来る3月24日は「世界結核デー」です。これは、1882年3月24日に医学者コッホによって、結核の原因となる「結核菌」の発見が報告されたのを記念する日です。そこで今回は、結核についてお話します。

かつて結核は日本では長く死因の第1位を占めていました。現在、世界で、結核で死亡する人は年間300万人といわれています。

平成10年の結核の状況は、全国で結核に新たにかかった人は41,033人でした。また、結核のり患率(結核に新たにかかる人の割合、人口10万人あたり)は32.4であり、2年連続して増加していることとなり、まさに結核緊急事態であるといえます。この理由としては高齢者のり患率の上昇が大きな原因となっていますが、高齢者だけでなく10代後半から20歳代でも結核のり患率が上昇していることも見逃せません。最近10年間で見た場合、若年層の結核り患率があまり減少していないにもかかわらず、この年代では結核への意識が低いことも問題です。

平成10年の結核り患率を福岡県内で見た場合33.2で、全国よりも若干高くなっています。地域別に見ると、中間・遠賀、大牟田、直方・鞍手で高くなっています。

結核の発病を減らすには規則正しい生活とバランスのとれた食事によって体調を維持することが大切です。さらに、とくに高齢者では住民検診等で毎年1回は結核検診を受け、「2週間以上続くせき」などの症状があるときは医療機関を早めに受診し、結核を早期発見することにより、治療期間を短縮したり、周囲への2次感染を予防したりすることが必要です。