福岡県感染症発生動向調査情報

第13週分(平成12年3月27日〜4月2日)

クラミジア

平成12年第13週の感染症発生動向調査情報では、第1位の感染性胃腸炎が連続して減少してきており、A群溶血レンサ球菌咽頭炎と、性器クラミジア感染症が増加している以外はすべて減少しています。

今週増加が見られた性器クラミジア感染症は、性行為によって感染する病気、いわゆる性感染症(STD,Sexually Transmitted Diseases)の一つで、クラミジア・トリコマチスの感染によって起こります。

これは性感染症のうち最も報告数が多い疾患の一つで、この10年間の福岡県における報告数は増加傾向にあります。

性行為の多様化に伴い、以前のような性器と性器の接触によるもの以外に、性器と口唇の接触や、口唇と肛門の接触による感染が問題となっています。

その症状としては、女性の場合は子宮頸管炎が起こると、下腹部の痛みや帯下(おりもの)の増加などが見られますが、症状が軽く気がつかないこともあります。男性の場合は尿道炎が起こると、性器からの分泌物の増加や排尿時の痛みなどがあります。

現在問題となっているのは、症状がなく感染している場合で、十代の妊婦のうち20%を越える女性にクラミジアの感染を認めたという報告もあっており、本人が気がつかないうちに感染を広げている可能性があります。

治療には抗生物質などが有効ですが、慢性的に感染が続く場合、女性では骨盤の中に炎症が広がり(骨盤腹膜炎)、卵管などの癒着によって、不妊症や子宮外妊娠を起こすことがあり、また、出産時に新生児の結膜炎や肺炎を起こす場合があり、妊娠中にクラミジアの検査を積極的に行っている医療機関もあります。

とくに不特定多数の人との性行為や、口唇と性器の接触を含めたコンドームを使用しない性行為は感染の危険を高めます。

感染予防としては、普段から安全な性行動を心がけ、また、自覚症状がある場合は早めに医療機関で検査治療を受けましょう。