福岡県感染症発生動向調査情報

第14週分(平成12年4月3日〜4月9日)

手足口病

平成12年第14週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が連続して減少してきており、水痘と手足口病の増加がみられています。

手足口病については、報告された38例のうち2例が無菌性髄膜炎を合併しています。

そこで今週は、手足口病についてお話しします。

手足口病は、エンテロウイルス71型、コクサッキーウイルスA16型、A10等によって引き起こされるウイルス感染症です。

症状は、手のひら、足のうら、口唇、頬の内側、舌などに3〜7ミリの扁平で周囲が赤い水疱ができます。初夏から初秋にかけて流行がみられており、数年おきに大きな流行がみられます。患者の約9割が4歳以下の乳幼児です。

感染経路としては、口の中の病変からの空気感染、糞便からの経口感染、水疱の内容物との接触による感染などがあります。

潜伏期は3〜5日で、38度以上の発熱が見られる場合もありますが、ほとんどが1週間程度で治る病気です。

しかし、まれに無菌性髄膜炎や脳炎などの合併症を起こす場合があり、重症の脳炎では死亡する場合があります。このため、発疹の初期(2〜3日)の症状には注意が必要です。特に、元気がない(刺激に過敏、不機嫌)、頭痛、嘔吐、高熱を伴う発熱が2日以上続く等の症状がみられたときは合併症の可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。

また、口の中の粘膜などに水泡ができたり、それが破れて潰瘍になると、痛みが強くて食事が充分にとれなくなり脱水になることがあります。この様な時の水分は熱いもの、すっぱいもの(柑橘系ジュース)、塩味のもの(みそ汁など)、味の濃いものは刺激が強いので避けたほうがよいでしょう。ぬるめのお茶、牛乳、ヨーグルト、リンゴジュース、プリンなどが口にやさしいのでよいでしょう。

予防法としては、ウイルスが口の中の病変などから1〜2週間程度、糞便からは3〜5週間と比較的長い期間排出されますので、水疱などの病変部分との接触時、排便後やおむつ交換後、食事や調理前の手洗いなどを心がけましょう。