福岡県感染症発生動向調査情報

第15週分(平成12年4月10日〜4月16日)

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

平成12年第15週の感染症発生動向調査情報では、多くの疾患が先週より減少傾向を示しています。小幅に減少を続けている感染症胃腸炎は、まだ最も多くなっています。

また、2例に減少していたヘルパンギーナが11例となりました。

ヘルパンギーナは、先週の手足口病と同じコクサッキーA型ウィルスなどが原因とされており夏に多発する病気ですが、早い時は4月から流行する年があるので注意して見ておく必要があります。予防については、手足口病と同じです。

今週は、流行性耳下腺炎についてお知らせします。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、ムンプスウイルスによって起こる病気で、3〜6歳くらいによくみられます。福岡県では3〜5年ごとに増加しており、今年も注意が必要です。

この病気は、耳下腺の炎症だけでなく、無菌性髄膜炎を起こしやすく(1〜10%)、思春期以降では20〜30%に精巣炎を、約5%に卵巣炎を、また膵炎や関節炎などを起こすことがあります。

その症状としては、2〜3週間の潜伏期のあと、発熱、全身倦怠感などに引き続いて耳下腺などが腫れ、おさえると痛みがあります。無菌性髄膜炎を起こした場合は、頭痛、嘔吐、けいれんなどが起こります。

発熱があり、耳下腺が腫れていたいために、食欲が落ちて脱水を起こしやすいので、水分の補給に気をつけましょう。また、無菌性髄膜炎の予防のためには安静が必要です。

流行性耳下腺炎の感染力は強く、患者の唾液に触れる、またはそれを吸い込むことによって感染し、同居している家族では90%以上が感染しているという報告もあります。しかし、感染しても全員が発病するのではなく、症状がでない場合が約3分の1程度あるといわれています。登校や通園など他の人と接触する場に出るのは、耳下腺のはれがおさまってからにしましょう。