福岡県感染症発生動向調査情報

第17週分(平成12年4月24日〜4月30日)

淋菌

平成12年第17週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が先週に引き続き増加しています。次に多いのは水痘ですが増加傾向はありません。手足口病は2週連続増加しています。麻しんも先週は1例でしたが、今週は12例報告され増加が見られます。

今週は淋菌感染症についてお話します。淋菌感染症は淋菌という細菌で起こる感染症で、梅毒とともに古くから知られている性感染症の一つです。これは、1950年ごろは日本全国で年間約20万人の届出がありましたが、1957年の売春防止法以後急激に減少し、以後増減を繰り返してきました。エイズが社会的な問題となってきた1980年代中ごろからは減少傾向みられていましたが、この数年再び増加傾向がみられ、とくに男性の増加が問題となってきています。

淋菌の感染によって、男性には尿道炎が起こり、女性には子宮頸管炎が起こってくることが多いのですが、症状に差があります。

男性の場合は、感染後数日から1週間前後してから尿道にかゆみや熱っぽい感じがあり、尿道口からは粘液が出てきます。しだいに尿道口が赤くなり、緑色の膿が出て、排尿時に痛みを伴うようになります。女性の場合は、男性の場合より症状が軽いことが多く、感染後数日で帯下(おりもの)が増える程度で、気がつかないままのこともあります。これを放置しておくと炎症は広がり、男性の場合は前立腺炎を、女性の場合は尿道や子宮内膜、卵管、卵巣や骨盤腹膜に炎症を起こし、不妊や子宮外妊娠の原因となることがあるので早期に治療を受けることが必要です。

最近問題となっているのは、ファッションマッサージなどの口腔性交を行う仕事をしている人から感染し尿道炎を起こす例が増加していること、 これまで治療に使われていた抗菌剤や抗生物質に耐性のある淋菌がみられるようになってきたことです。

また、淋菌感染症の15〜30%にクラミジア(第13週の報告でお知らせしましたが)の混合感染がみられるという報告もあり、淋菌感染症にかかっていると診断された場合、クラミジアの検査も一緒に受けることをおすすめします。

また、予防のためには安全な性行動(コンドームの正しい使用、複数のパートナーを持たないなど)を心がけることが大切です。