福岡県感染症発生動向調査情報

第18週分(平成12年5月1日〜5月7日)

水痘(水ぼうそう)

平成12年第18週の感染症発生動向調査情報では、連休期間で報告数が激減する時期にも関わらず水痘が5割り増し、手足口病が3週連続し約3割増しとなっています。感染性胃腸炎は減少していますが、依然として最も多くなっています。今週は、水痘についてお話しします。

水痘は、水痘帯状疱疹ウイルスによって起こります。このウイルスはヒトに感染するヘルペスウイルスの一つで、口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因ウイルスと同じ群に属します。

水痘は、11月〜6月にかけて流行し、日本では約80%が5歳以下でかかり、一生続く免疫を得るとされていましたが、近年、成人になっても水痘に対する抗体を持っていない人が約10%にみられるという報告があります。成人では小児より症状が重く、白血病やがんなどの基礎疾患がある場合、脳炎や肺炎を合併し、時に死亡することがあります。

症状としては、まず、手足ではなく胴体など体の中心に近いところから発疹ができます。発疹は、はじめは紅く、中央に数ミリの水疱を生じ、かさぶたができるまでに1週間程度かかります。ときに38度程度の発熱を伴う例もありますが、数日で治まります。

また、妊娠前に水痘にかかったことのない妊婦が、出産する前4日から出産後2日の間に水痘を発症した場合、新生児水痘を起こす危険が高いといわれており、これは重症化し、死亡率が約30%にも達します。水痘にかかったことがなく出産を希望している場合には、妊娠前の水痘ワクチン接種をすすめるところがあります。水痘ワクチンは、ポリオや麻しんなど市町村が実施する定期予防接種ではなく任意接種ですが、発症予防や重症化防止に役立つとされています。

水痘の感染経路としては、水疱の内容物による直接感染や飛沫感染ですが、発病する前1〜2日が最もひとにうつしやすいといわれています。(潜伏期は2週間程度)水痘は感染力が強いので、すべての発疹がかさぶたになるまで登園や登校を避けましょう。