福岡県感染症発生動向調査情報

第22週分(平成12年5月29日〜6月4日)

麻しん(はしか)

今年第22週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が最も多くなっていますが、前週の87%に減少しています。手足口病がさらに増加し無菌性髄膜炎合併の報告が多くなっています。また、ヘルパンギーナや麻しんも増加しています。

今週は麻しんについてお話しします。麻しんは麻しんウイルスによって起こり、急性で伝染力が強い病気です。冬から春にかけて流行すると言われています。

感染経路は、主に飛沫による空気感染ですが、感染者の鼻やのどの分泌物に直接して感染することがあります。

潜伏期は約10日で、発症して治るまでは1週間から10日程度です。

症状としては、はじめに発熱、咳、鼻水、のどの痛みが見られ、その後、口の中にコップリック斑(頬側の粘膜がわずかに紅くそこに小さな白い斑点のような湿疹ができる)や、耳の後ろ、額や頸から小さな紅い湿疹が手足や胴体に広がりますが、これは熱が下がっていくと同時に消えていきます。そのあとに色素沈着や落屑(皮膚の表面が少しはがれたれたようになり、垢のようなものが出る状態)を残します。色素沈着は、ほとんどが発症してから2週間程度で消えます。

麻しんの合併症としては、、肺炎や脳炎・脳症、脳脊髄炎などがあり、発症年齢が低いほど予後が悪いといわれています。亜急性硬化性全脳炎は、麻しんに罹ったあと数年してから起こってくる遅発性の脳炎です。

日本において麻しんワクチン接種の普及により麻しんの発生は減少しており、年間発生数は約20万例と推定されていますが、1998年に群馬県で大流行が見られました。

麻しんワクチンは生後12〜90か月に接種が行われており、その有効率は95%以上とされており、自然感染を防止するために有効です。