福岡県感染症発生動向調査情報

第24週分(平成12年6月12日〜6月18日)

赤痢

今年第24週の感染症発生動向調査情報では、手足口病がさらに増加し、感染性胃腸炎を抜いて第1位になっています。今週も無菌性髄膜炎合併の報告はありますが、脳炎の合併報告はありません。また、県内各地でヘルパンギーナも増加しています。

今週は赤痢(細菌性赤痢)についてお話します。細菌性赤痢は、赤痢菌によって起こる病気で、世界的に見られる感染症です。日本においても40〜50年前には人口10万人あたり100人もの人がこの病気にかかり、死に至る子どもたちも少なくありませんでした。現在は、患者は全国で1年間に1000人以下の発生となっています。

この病気は、患者の便およびそれに汚染された手指、食品、水、ハエ、食器などが感染源となりますが、輸入されたサルが感染源となった例も報告されています。

潜伏期は1〜5日ですが、十数時間で発病した例もあり、大多数は3日以内です。

症状としては、急激な全身倦怠感、発熱、水様性の下痢が始まり、その後、腹痛、しぶり腹(便が出そうな感じは強いのに便がよくでない下痢)や血便などの症状がみられます。これらの症状が見られたらできるだけ早く医療機関を受診し、検便検査や治療を受けることが大切です。

治療としては、抗菌剤の投与や脱水の治療のための輸液などが行われますが、子どもやお年寄り、糖尿病や肝硬変などの合併症を持った人の場合は重症化することがあるので注意が必要です。

世界的にみると患者の約80%は幼児ですが、日本では青壮年層を中心とした輸入感染症としての頻度が高く、推定感染地としては東南アジアなどの国々が多くを占めています。これからこの地域に旅行するときは、生水、生もの(フルーツを含む) 、氷などの飲食物は避ける、調理して長時間たったものは食べないなどに注意しましょう。