福岡県感染症発生動向調査情報

第25週分(平成12年6月19日〜6月25日)

日本脳炎

今年第25週の感染症発生動向調査情報では、手足口病は全国的に増加中ですが、福岡県では横ばいです。しかし、先週に引き続き第1位となっています。今週も無菌性髄膜炎合併の報告があり、成人例の報告もあっています。脳炎の合併報告はありません。また、県内各地でヘルパンギーナも増加しています。

今週は日本脳炎についてお話します。これは日本脳炎ウイルスによって起こる病気で、ウイルスを持っている蚊に刺されることによって感染しますが、もともと渡り鳥がウイルスを運び、それがブタの中で増え、それを刺した蚊がウイルスを持つようになると考えられています。そのため日本脳炎は、蚊が多い夏から初秋に発生し、九州、四国、中部地方でよくみられます。

感染した人のうち90%は無症状ですが、急性脳炎を発症すると、約3分の1は完全に治りますが、5分の1が死亡し、それ以外の人は後遺症を残すといわれています。

潜伏期は約1〜2週間で、急に40℃にも及ぶ高熱が出て1週間〜10日ぐらい続きますます。頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん、マヒなどの重い症状を示すことがあり、熱が長く続いたり、小児や高齢者の場合は重症となることがあります。

感染予防のためには、病気に対する抵抗力が低下しないように日頃からの健康づくりが必要ですが、蚊の駆除や予防接種も大切な予防手段です。

定期の予防接種は、標準的には1期として3歳で2回接種をして基礎免疫をつけ、翌年に1回接種して追加免疫をつけます(生後6〜90か月までの間は接種できます)。

その後2期として9歳〜13歳未満と、3期として14〜15歳に追加接種をします。

小児期の予防接種だけでなく、東南アジアなどの流行地域に旅行や仕事で行く人でこれまで予防接種を受けていない場合は、早めに予防接種を受けましょう。