福岡県感染症発生動向調査情報

第26週分(平成12年6月26日〜7月2日)

マラリア

今年第26週の感染症発生動向調査情報では、手足口病は全国的、福岡県ともに増加中で、無菌性髄膜炎合併の報告が増加しています。また、県内各地でヘルパンギーナも増加しています。

今年7月21日〜23日まで沖縄県で主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)が開催されますが、エイズ、結核、マラリアは「三大感染症」として、対策を打ち出す予定となっています。

マラリアは、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫によって起こる病気で、ハマダラカを介して感染します。
  世界では、熱帯から亜熱帯の100カ国で流行しており、年間で3〜5億人がこの病気にかかると推定され、150〜270万人が死亡していると報告されています。日本でも輸入感染症として、1970年代より増加がみられます。

潜伏期は熱帯熱マラリアでは10日前後、四日熱マラリアで1か月前後、三日熱および卵形マラリアでは半年から1年に及ぶことがあります。

三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアの経過は一般的に良好ですが、熱帯熱マラリアは経過が悪く、ショックなどの重篤な合併を引き起こすことがあります。

典型的な症状としては、高熱、貧血、脾腫ですが、いろいろな症状を示し、特に子どもの場合は、これらの症状以外に嘔吐や腹痛などを訴えることがあります。流行地域から帰国後に、突然の発熱をみた場合、マラリアを疑って検査を受けることが大切です。

予防としては、流行地に滞在する1〜2週間前からと帰国後4〜6週間は、抗マラリア薬の予防内服を行うことが必要です。流行地域に行った場合、蚊に刺されないように、夕方から朝までの外出を避け、長袖・長ズボンを着用し、露出部位に蚊に刺されないための薬をぬり、蚊帳や網戸・蚊取り線香などを使用します。

また、マラリアは血液を介して感染しますので、流行地域に旅行した場合は(潜伏期を考えると)帰国して1年間と、これまでマラリアにかかったことがある人は献血を避けましょう。