福岡県感染症発生動向調査情報

第28週分(平成12年7月10日〜7月16日)

梅毒

今年第28週の感染症発生動向調査情報では、手足口病は全国的的に増加中です。

合併症として、髄膜炎、脳炎や熱性けいれんなどが報告されており注意が必要です。

今週は、代表的な性感染症(STD:Sexually Transmitted Desease、性的接触で起こる感染症、淋病や性器クラミジア感染症、エイズなど)の梅毒についてお話します。

梅毒は、梅毒トレポネーマの感染によって起こる病気で、全世界で見られますが、日本でも昭和23年には年間21万件もの届出があり、昭和33年の売春防止法の全面施行以降は、届出数は減少しているものの、実際はもっと多いと考えらています。

梅毒は、胎児が子宮内で感染する先天梅毒と、後天梅毒に分けられ、後天梅毒のうち、感染後2年以内を早期梅毒といい、それ以降を晩期梅毒といいます。

早期梅毒は、さらに第1期(初期)と第2期に分けられ、第1期には、感染してから10〜90日後に、感染部位に硬性下疳呼ばれる皮膚や粘膜がすこし盛り上がって表面にびらんを伴った湿疹ができることがあります。これは放置していても4〜6週間で治ります。第2期に入ると全身にバラ疹と呼ばれる桃色の発疹が見られ、同時にリンパ節が腫れたり、発熱や関節痛が見られることがあります。感染後3年以上過ぎた晩期梅毒では、心臓や血管、神経などに病変が見られ、後遺症を残すことがあります。

感染経路としては、硬性下疳のような梅毒の病変のある部分に皮膚や粘膜が接触したり、体液を介して感染しますが、性行為以外にも、先天梅毒のように胎盤を介しての感染や、医療従事者が手指から感染したという報告があります。

治療としては、長期に大量の抗生物質(ペニシリン)の投与などが行われますが、性パートナーも同時に、検査を受け治療することが必要です。

予防としては他の性感染症と同じで、複数の性パートナーを持たない、コンドームを正しく使用することが大切です。また、先天性梅毒の予防のために、妊娠前の性病検査や、妊娠初期に梅毒の血清検査を受け、必要時は適切な治療を受けましょう。