福岡県感染症発生動向調査情報

第29週分(平成12年7月17日〜7月23日)

流行性角結膜炎

今年第29週の感染症発生動向調査情報では、手足口病は全国的的に増加中ですが、福岡県では、報告数が先週の約4分の3と減少しています。

今週は流行性角結膜炎についてお話しします。この病気はアデノウイルスという病原体の感染によって起こります。アデノウイルスにはさまざまな種類があり、感冒様の症状や、咽頭炎、気管支炎、肺炎、髄膜炎、乳幼児の下痢を起こす原因となるものがあります。このうち流行性角結膜炎を起こす原因となるのは、アデノウイルス8型、19型、37型などです。平成2年に大きな流行がありましたが、その後は大きな流行は見られていません。

症状としては、急に結膜が充血し結膜炎が起こり、その後角膜炎も起こってきます。まぶたや眼の周りが腫れ、痛みやまぶしさ、眼がかすんだり、耳のあたりのリンパ節が腫れ、おさえると痛みがあります。同時に軽い発熱や、頭痛、食欲不振などがみられることがあります。結膜炎は2〜4週間程度で治りますが、角膜炎などがしばらく続くことがあり、かすみ眼が続いたり、視力が低下することがあります。潜伏期は、1〜2週間程度です。

感染源は、患者の眼の分泌物で、それに直接触れたり、それがついた器具を介して感染が広がります。感染力は強く、時々学校や職場、医療機関などで集団発生が見られています。

感染を広げないために、この病気にかかった人は、自分の専用のタオルや洗面器を使い、眼をふいた綿やテイッシュペーパーなどは袋に集めて消却し、治るまで学校などの集団の中に入っていかないようにしましょう。また、医療機関では、使用した器具は滅菌消毒をする、医療従事者は十分な手洗いをする、この病気の患者を他の患者と接触させないようにするなどの注意が必要です。