福岡県感染症発生動向調査情報

第31週分(平成12年7月31日〜8月6日)

エイズ

平成12年第31週の感染症発生動向調査では手足口病が、全国及び福岡県はともに引き続き減少しています。ヘルパンギーナも減少傾向が続いています。

今週はエイズ(後天性免疫不全症候群)についてお話します。この病気はヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされます。このウイルスはヒトの体を守る免疫というしくみをコントロールする細胞を破壊し、そのため免疫が十分働かない状態となり、免疫が正常の時にはかからないような様々な病気にかかったりします。

1981年に世界で初めてAIDS患者が報告されましたが、WHO(世界保健機構)によると1999年に全世界で報告されたHIV感染者は3,430万人、AIDS患者は220万人でした。

日本においては、2000年6月25日現在、HIV感染者は5,058人、AIDS患者は2,367人と報告されています。しかし、感染してから発病するまでの期間は平均して10年で、保健所や医療機関で検査を受けていなければ感染していても気づかない場合があり、実際に感染している人はもっと多いと考えられています。

1999年に新たに報告されたHIV感染者は491人、AIDS患者は289人で、増加傾向が続いています。これらの人々の感染経路としては、性的接触による感染例が全体の4分の3を占めていました。男性が女性より多く、HIV感染者では約4倍、AIDS患者では約6倍でした。年齢的には、HIV感染者の場合、男性で25〜34歳、女性で20〜29歳と若い世代に多くみられました。

治療としては、米国では約5年前から多剤併用療法が行われており、それ以前は発病後2〜3年で死亡する例が多く見られましたが、この治療法により患者の死亡率が低下しており、日本でも1999年にいくつかの薬が使用できるようになりました。

性的接触によるHIV感染の予防のためには、不特定多数のパートナーとの性交渉を避ける、感染の危険性の多い肛門性交を避けるなどが大切です。また、クラミジアなどの性感染症かかっている場合も、HIV感染の危険が増加しますので注意が必要です。