福岡県感染症発生動向調査情報

第32週分(平成12年8月7日〜8月13日)

ツツガムシ病

今年第32週の感染症発生動向調査情報では、手足口病及びヘルパンギーナは引き続き減少しています。

今週はツツガムシ病についてお話しします。この病気はツツガムシ病リケッチアという病原体によっておこりますが、この病原体に感染したツツガムシ(0.3ミリほどの小さなダニ)の幼虫に刺されてヒトに感染します。ヒトからヒトへの感染はありません。

この病気は、古くから東北地方の風土病として知られており、これはアカツツガムシによるものでした。その後、しだいに減少し1969年には全国の届出件数は3件となっていましたが、1980年代に激増しました。これは新型ツツガムシ(フトゲツツガムシ、タテツツガムシ)によるもので、現在では全国的な発生が起こっています。増加の原因の一つとして、ツツガムシの生息場所に新興住宅地が広がっていったことが考えられています

西日本では、フトゲツツガムシの活動時期である秋と春から初夏およびタテツツガムシの活動期である秋〜冬が要注意です。

潜伏期は1〜2週間程度で、症状としては、刺されたところに5〜10ミリの黒いかさぶたに覆われた刺し口でき、体のだるさや食欲がおちるなどがみられたあとに、急に高い熱が1〜2週間ほど出ます。また、リンパ節が腫れ、顔や胴体にしっしんがでます。

治療としては、テトラサイクリンなどの抗生物質がよく効きますが、診断が遅れたり糖尿病や心臓病などの病気を持っている場合は、重症になることがあるので注意が必要です。

山野や田畑などに行った後、何かに刺されたような感じがあり、その後熱が出た場合は、医療機関でそのことを話して検査や治療を受けるようにしましょう。