福岡県感染症発生動向調査情報

第33週分(平成12年8月14日〜8月20日)

ペットから感染する病気

今年第33週の感染症発生動向調査情報では、手足口病およびヘルパンギーナは引き続き減少となっています。

今週はペットから感染する病気についてお話します。動物からヒトに感染する病気を人獣共通感染症(Zoonosis)と呼んでいます。

昔から良く知られている狂犬病もこの人獣共通感染症のひとつですが、日本では1956年以降発症した例は報告されていませんが、細菌や寄生虫などによる人獣共通感染症は増加しています。

その理由としては、さまざまなペットが飼われるようになったこと、住宅事情や家族形態の変化などからペットが家族の一員としてヒトと近い距離で生活するようになったこと、病気への抵抗力の少ない人が増えてきたことなどが考えられています。

現在、ペットから感染する病気としては表のようなものがあります。

ペットやその糞を扱ったり、糞などが混じっている砂場で遊んだ後に、十分洗っていない手で調理をしたり食事をすることによって口から病原体が入ってくる(経口感染)ものとして、イヌ・ネコ回虫症、サルモネラ症やアメーバ赤痢、トキソプラズマ症などがあります。また、ペットにかまれたり、引っかかれたりして起こるものとしては、ネコひっかき病があります。ペットの糞や尿、ほこりの中にいる病原体を吸い込んで(経気道感染)起こる病気としては、Q熱やオウム病、クリプトコッカス症などがあります。

これらの病気を予防し、ペットと一緒に上手に暮らしていくためには、ペットの清潔に気をつけ糞の始末をこまめにする、ペットと遊んだり糞の始末をしたあとは十分な手洗いをする、口移しで食べ物を与えたりしない、過剰な接触は避ける、飼っているペットの健康状態に注意し、健康診断や予防接種または治療をを受けさせるなどを心がけることが必要です。