福岡県感染症発生動向調査情報

第34週分(平成12年8月21日〜8月27日)

百日咳

今年第34週の感染症発生動向調査情報では、手足口病は引き続き減少しています。

感染性胃腸炎、流行性耳下腺炎、流行性角結膜炎が比較的多い状態が続いています。

今週は百日咳についてお話しします。この病気は百日咳菌という細菌によって、ヒトからヒトにうつる病気で、患者の咳などによって出された分泌物を吸い込んだり、接触したりすることによって感染します。

症状としては、1週間〜10日の潜伏期のあと、1〜2週間は鼻水や軽い咳など感冒(カゼ)のような症状が見られ、次第に咳が強くなります。その後2〜4週間は激しい特有の咳(コンコンコンと立て続けに咳が出たあとヒューという音とともに息を吸い込む)の発作を何回も繰り返すようになります。咳はちょっとした刺激で起こり、顔がむくんだり、吐いたりします。咳の発作は夜間に多く見られますが、乳児期早期(生後6か月未満)では、ひどい咳のために呼吸ができなくなり、けいれんを起こしたり意識がなくなったりすることがあります。中耳炎、肺炎、けいれん、脳症などの合併症を起こさなければ、その後2〜3週間程度で次第におさまります。

治療としては、エリスロマイシンなどの抗生剤の投与や、水分の補給を十分に行います。乳児期早期は重症化しやすいため、入院治療が必要となることがあります。

予防としては、乳幼児へのワクチン接種が大切で、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風の三種混合ワクチン)を生後3ヶ月になったらできるだけ早めに接種しましょう。

また、患者をワクチン未接種者や乳幼児から隔離することが必要ですが、はじめに感冒様の症状の出ている時が最も感染力の強い時期にも関わらず、この病気と気づかれないことも多いため、患者と接触した場合は発病予防のために抗生剤を服用する場合もあります。

そろそろ夏の疲れが出てくるころですが、十分な睡眠やバランスの良い食事を取り、体力や病気に対する抵抗力をつけ、外出から帰ったあとはうがいや手洗いを行うなど、病気にかからないように気をつけましょう。