福岡県感染症発生動向調査情報

第35週分(平成12年8月28日〜9月3日)

結核

今年第35週の感染症発生動向調査情報では、手足口病は引き続き減少しています。

全国的には腸管出血性大腸菌感染症の報告が多くなっています。

9月24日〜30日は、結核予防週間となっていますが、今週は結核の発生状況についてお話しします。

結核は結核菌という細菌によって、ヒトからヒトにうつる病気で、患者の咳などによって出された分泌物を吸い込むことによって感染します。

現在、世界人口の3分の1が感染を受けており、その中から毎年1千万人を越える患者が発生し、350万人が死亡しており、1993年(平成5年)には世界保健機構(WHO)から、世界結核緊急事態宣言が出されています。

日本においても、結核は最大の感染症で、平成10年には年間約44,000人の新規患者が発生し、約2,800人の方が結核で死亡しています。福岡県では、平成10年には、1,808人の新規患者が発生しています。結核の罹患率(人口10万人あたりの新規患者数)は全国32位です。

結核は第2次世界大戦後減少傾向を示していましたが、平成9年には結核新規患者数が38年ぶりに増加し、平成11年には厚生省から結核緊急事態宣言が出されました。

患者は高齢者に多く、新規患者の56%が60歳以上(平成10年、全国)でした。最近では、糖尿病、人工透析、副腎皮質ホルモン剤治療、胃潰瘍、エイズなど、体の抵抗力や免疫力の低下した人からの発生も問題とされています。

また、乳児が結核に感染した場合は、結核性髄膜炎や粟粒結核など深刻な症状を呈することがあり、予防のためにできるだけ早めに予防接種(BCG)を受けることをおすすめします。

結核の初期の症状としては、咳、痰、発熱など感冒様の症状で、なかなか気づかないことも多く、次第に食欲低下や体重減少、胸痛などが見られます。

しかし、結核患者の中には、自覚症状がなく、職場での健康診断や住民検診などで見つかることもあり、毎年定期的に結核の健康診断(胸部レントゲン撮影など)を受けることは、結核の早期発見のために大切なことです。