福岡県感染症発生動向調査情報

第39週分(平成12年9月25日〜10月1日)

B型肝炎

今年第39週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が増加し、報告疾患のうち最も多くなっています。

現在、ウイルス性肝炎(急性のみ)は、四類感染症に含まれており、医師は診断した場合、7日以内に保健所長へ届出る義務がありますが、今週はこのうちB型肝炎についてお話しします。

B型肝炎ウイルスに感染した場合、免疫力が十分であれば、体の中から肝炎ウイルスを排除することができるので感染は一過性で(B型急性肝炎)治ります。

しかし、乳幼児のように免疫力が弱い、または低下している場合は、ウイルスを排除することができず持続感染を起こします。このような状態の人はHBVキャリアと呼ばれています。日本において、HBVキャリア率は2〜3%といわれており、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんを発症する危険性が高くなるといわれています。

B型肝炎の潜伏期は平均60〜90日で、B型急性肝炎では、ほとんど症状を示さない(不顕性感染)場合もありますが、症状としては、黄疸、全身倦怠感、食欲不振がみられ、さらに腹痛やじんましんがみられる場合があります。

感染経路としては、血液、体液を介する感染、母子間の感染、性行為による感染があります。献血血液の検査、医療器具のデイスポーザブル(使い捨て)化、医療従事者のワクチン接種や針刺し事故時の適切な対応が行われることにより、これらが原因となる感染は減少傾向にありますが、最近は性行為による感染が問題となっています。

感染予防としては、患者の血液や分泌物などが付着した手指、衣類、器材などの消毒が必要です。これらを水洗し、可能なものは加熱処理をしますが、できないものは、十分洗浄した後、消毒薬で消毒します。感染予防のためのワクチンもあり、医療従事者やHBVキャリアの母親から生まれた新生児などに接種されています。

日常生活では、キャリアや患者は自分の歯ブラシ、カミソリ、タオルなどを使い、他の人と共用しないようにするなどの注意も必要です。