福岡県感染症発生動向調査情報

第40週分(平成12年10月2日〜10月8日)

乳児嘔吐下痢症

今年第40週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が増加し、流行性耳下腺炎、流行性角結膜炎は減少しており、マイコプラズマ肺炎の発生が続いています。

今週は、乳児嘔吐下痢症についてお話します。この病気は、先週に引き続き最も報告数の多かった感染性胃腸炎の一つで、毎年秋から冬にかけて流行します。

乳児嘔吐下痢症はロタウイルスの感染によって起こり、一般に生後6か月〜2歳ごろの乳幼児によく見られます。症状のあるなしに関わらず、乳幼児期にほとんどの子どもがこの病気にかかってしまうと考えられています。

潜伏期は2〜3日で、症状としては、まず急な発熱と嘔吐がみられ、その後、嘔吐は減少しますが下痢が始まります。下痢は白色〜黄白色で水様性、一日に十数回も出ることがあります。これらの症状から、この病気は以前、仮性小児コレラ、白色下痢症などと呼ばれていました。

治療は、頻回の下痢や嘔吐によって起こる脱水に対する水分補給が中心で、少し症状が落ち着いてから食事療法を行います。食事療法としては、それまで食べていたものより柔らかいもので、消化のよいおかゆなどの炭水化物を中心とします。

薬物療法は補助的に行われ、吐き気止めや整腸剤などが使われることがあります。

現在、重症化を防ぐ目的で、ロタウイルスワクチンの開発されているところですが、発熱などの副作用があり、日本ではまだ実用化に至っていません。

感染経路は、ヒトからヒトへの経口感染で、発病後1週間が感染力が強いといわれています。感染予防のために排便後やオムツ交換後、調理や食事前に十分手洗いをすることが大切です。