福岡県感染症発生動向調査情報

第41週分(平成12年10月9日〜10月15日)

カンピロバクター腸炎

今年第41週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が最も報告数が多くなっていますが、流行性耳下腺炎、流行性角結膜炎の発生も続いています。

今週は、カンピロバクター腸炎についてお話します。この病気は、先週に引き続き感染性胃腸炎の一つです。5歳以下の小児と青年層に多く見られます。

この病気の原因はカンピロバクターという細菌で、ヒトだけでなく、アヒル、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、トリもこの菌を持っていることがあり、とくにニワトリに多く保菌率は50%を越えるとされています。

ヒトへの感染は、これらの動物の糞に汚染された食肉、生乳、水などによって起こりますが、肉を調理したまな板や包丁、手指を介して菌が他の食品(例えば野菜サラダなど)について、それらを食べて感染が起こる場合があります。

潜伏期は1〜7日で、急に発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛などが起こり、続いて吐き気、腹痛、下痢がみられます。

治療は、下痢が続くことによって起こる脱水に対する輸液などの水分補給や、食事制限などが主ですが、症状が重い場合や、小児や高齢者、糖尿病患者など免疫力が低下している場合などは抗菌薬が使われることがあります。通常は1週間以内に回復します。

まれにおこる合併症として、この病気にかかったあと数週間して、手足が麻痺するギランバレー症候群(急性熱性多発性神経炎)という病気があります。

カンピロバクター腸炎の予防のためには、排便後や調理、食事の前の手洗い、肉は十分加熱する、ペットを扱った時には手洗いを行うことが必要ですが、詳しくは表を参考にして下さい。