福岡県感染症発生動向調査情報

第43週分(平成12年10月23日〜10月29日)

インフルエンザ(症状)

今年第43週の感染症発生動向調査情報では、A群溶レン菌咽頭炎とマイコプラズマ肺炎が急増しています。感染性胃腸炎は、今週も報告数が最も多くなっていますが、このうちロタウイルスによるものが増加しており、今後注意が必要です。

今週は、引き続きインフルエンザの症状についてお話ししたいと思います。

インフルエンザの潜伏期は、1〜5日で多くは1〜2日と他のウイルス性の病気より短く急に発病し、これはインフルエンザの流行が急速に拡大する原因の一つです。

インフルエンザは、突然38〜39度の高い熱が出ます。他のかぜと違っているのは、全身倦怠感(体のだるさ)や食欲不振、頭痛、胸痛、腰痛、関節痛、筋肉痛など全身症状がみられることです。それと同時か少し遅れて、鼻水、くしゃみ、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などの呼吸器症状が現れ、下痢、腹痛などが見られることもあります。

これらの症状は、ほとんどは1週間程度で消失しますが、咳は少し長く残り、10日前後まで続くことがあり、感染を広げないためにはマスク着用が必要です。

また、重症化や死亡例がみられとくに注意が必要な合併症は、肺炎、脳炎・脳症です。

肺炎はインフルエンザウイルスそのものよりも、インフルエンザウイルスの感染によって抵抗力が弱ったところに、別の細菌が二次的に感染することによって起こることが多いとされています。とくに、高齢者で糖尿病や慢性気管支炎、気管支喘息、高血圧性心疾患、慢性肝炎などの慢性疾患を持っている人は、重症化しやすく注意が必要です。

脳炎や脳症は、小児に多く、昨冬の調査では、60歳以下で脳炎・脳症と診断された109例のうち5歳以下が全体の約7割を占めました。この調査ではインフルエンザにかかってから平均1.8日で発熱、頭痛、意識障害、けいれん、嘔吐など脳炎・脳症の症状が現れたと報告されており、これらの症状がみられたら早めに医療機関を受診しましょう。

インフルエンザにかからないためには、先週お話したワクチンも有効ですが、まず、過労や睡眠不足を避け、バランスのよい食事をとり、病気に対する抵抗力をつけることが、最も基本的でかつ大切な予防法です。