福岡県感染症発生動向調査情報

第44週分(平成12年10月30日〜11月5日)

インフルエンザ(治療)

今年第44週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎と水痘が徐々に増加しており、今後とも注意が必要です。

今週は、インフルエンザの治療についてお話します。治療は大きく分けて、安静と睡眠といった基本的な治療のほかに、それぞれの症状に対する対症療法、インフルエンザに対する抗ウイルス薬による治療があります。

基本的な治療としては、インフルエンザにかかったら、温度18〜20度、湿度60〜70%程度に保った部屋で、十分な安静と睡眠をとることが治療の第一歩です。喫煙は気道の炎症を悪化させるため止めることをおすすめします。

また、高熱のため脱水になりやすいので、十分な水分の補給が必要です。高熱のために食欲が低下しますが、口あたりがよくても消化の悪い脂肪分の多いものは避け、消化がよく胃腸に負担がかからない食事をとり、ビタミン類の補給にも努めましょう。

ある程度よくなってきても、外出するときはマスクをしましょう。咳はある程度の期間まで残り、マスクをすることによって周囲のひとにうつす危険性を少しでも減らすとともに、のどの保温と加湿により悪化を防ぐことができます。

つぎに、対症療法としては、発熱については38度を越える場合に解熱剤が使われることがあり、咳については、夜間に乾いた咳が出て眠れないなどの場合に咳止めが使われることがあります。そのほか、鼻水を押さえる薬やのどの痛みに対してうがい薬が使われることがあります。

最後に抗ウイルス薬としては、1998年にアマンタジン(商品名シンメトレル)が、また翌年にはザナミビル(商品名リレンザ)が治療薬として使えるようになりました。

いずれもインフルエンザの症状が出て早い時期(48時間以内)の使用が有効といわれています。しかし、有効なインフルエンザの型や、使える年齢、副作用などがあり、すべての人が使えるわけではありません。やはり、インフルエンザの予防が大切で、十分な睡眠やバランスの良い食事をとり体力や抵抗力を落とさない生活をする、外出から帰ったらうがいや手洗いをするといった行動が基本となります。