福岡県感染症発生動向調査情報

第46週分(平成12年11月13日〜11月19日)

性器ヘルペス

今年第46週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が今週も急増しています。また、インフルエンザは今週は1件報告されています。

今週は先週に引き続き、性感染症としては、性器クラミジア感染症、淋菌感染症に続いて報告の多い病気である性器ヘルペスについてお話します。

性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスの一つである単純疱疹ウイルス(Herpes Simplex Virus、HSV)1型または2型が性器に感染して起こる病気です。

1998年に厚生省が全国7ヶ所(北海道、岩手県、茨城県、愛知県、兵庫県、広島県、福岡県)で行った性感染症発生動向調査によると、性器ヘルペスの発症頻度は、全体としては人口10万人に対して、男性で2.40、女性で5.53と、女性が多くなっていますが、平成11年の福岡県の定点あたりの報告では大きな差はありません。

単純疱疹ウイルスは感染したあと神経節に潜伏し、免疫などの体の抵抗力が低下した場合に再発するという特徴があります。

初めて感染した場合は、はじめ外陰部にかゆみがあり、次に水疱ができ、びらんや潰瘍となり痛みを伴います。これらはしだいに痂皮(かさぶた)となり、2〜6週間以内に治ります。強い日焼け、ストレス、月経、飲酒、疲労やエイズなどで免疫力がした場合に再発が起こり、症状がでる数日前から腰の痛みや足のしびれ、局所のかゆみなどがみられることがありますが、初めて感染した場合よりも症状は軽くなります。

感染経路としては、性行為(口腔と性器の接触によるものも含む)のみならず、病変部との直接接触や、手指や器具などを介した接触によるものもあります。

治療としては、抗ウイルス剤(アシクロビル)などを使用します。

予防としては、他の性感染症と同じで、安全な性行動を選択することが必要です。

性行為以外でも感染するため、病変部との直接接触を避け、もし接触した場合はすぐに手洗いをして感染を予防しましょう。また、分娩が近づいた妊婦が発症した場合、新生児が産道を通る際に感染し、(母親が初めて感染していた場合)約3分の1が新生児ヘルペスを起こし重症となることがあるため、予防のために帝王切開が行われています。