福岡県感染症発生動向調査情報

第47週分(平成12年11月20日〜11月26日)

シラミ症

今年第47週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎が今週も増加しています。また、インフルエンザの報告は今週は8件でした。

今週はシラミ症についてお話します。この病気は、シラミという病原体によって起こりますが、ヒトに寄生するシラミには衣ジラミ、頭ジラミ、毛ジラミの3種類があります。

日本では第二次世界大戦から戦後にかけて流行しましたが、DDTなどの薬剤の散布によって減少しました。その後、DDTなどの薬剤が国内で使えなくなり増加し、別の薬剤の登場でまた減少するなど移り変わりがありましたが、最近は増加傾向にあるといわれています。

シラミは衣服や頭髪や陰毛などに生息し、ヒトを刺して血を吸い、刺された部分は赤くなります。毛の部分に(頭ジラミでは頭髪、毛ジラミは陰毛が多い)褐色点状の虫体や白い虫卵が付いているのが見られます。強いかゆみを伴うため、掻きむしったりするとさらに別の細菌感染が起こることがあり、早期に治療することが必要です。

感染経路としては、頭ジラミは、頭をくっつけるようにして遊んだり、衣類や帽子、ヘッドキャップなどを介したものがあります。毛ジラミは、性感染症の一つで主に性的接触によって感染しますが、それ以外に家族内感染や集団宿泊施設での感染も報告されています。衣ジラミは、長期間衣服を替えない状況で発生し、衣服のほかシーツなどを介しても感染が起こります。

治療としては、シラミを駆除するためにフェノトリン粉薬を散布したりシャンプー剤を使い、かゆみ止めの軟膏を塗るなどの方法があります。毛ジラミの場合は、性的パートナーも同時に治療することが必要です。また、集団に感染が広がっている場合は、一斉に検査をして一斉に治療しないと、何度も感染を繰り返すことがあります。

予防のためには、基本的には衣類や体を清潔に保つことです。性感染を防ぐためには安全な性行動が必要です。また、感染者の衣服は直接触れずに、高温処理やドライクリーニングなどをして感染拡大を防ぎましょう。