今年第48週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎の報告が最も多くなっており、1ヶ月前の約4倍と急増しています。インフルエンザの報告は6件で先週より少なくなっています。
感染症発生動向調査情報における感染性胃腸炎とは、急に発症し腹痛・嘔吐・下痢があり、かつ、他の原因によるものを除外された病気を指します。
感染性胃腸炎を起こす原因としては、細菌やウイルスなどさまざまなものがありますが、今週は、このうち小型球形ウイルス(Small Round Structured Virus、SRSV)による胃腸炎についてお話します。
感染性胃腸炎を起こすものには、同時に食中毒の原因となるものがあり、この小型球形ウイルスもその一つです。わが国において食中毒の20%は非細菌性(ウイルスが大部分を占める)によるもので、とくに冬季のウイルス性食中毒の大部分は、この小型球形ウイルスによって起こるといわれています。
感染経路としては、生ガキなど生の貝類を食べたり、二次的に飲料水や調理器具などを介するもので、施設内や病院内での集団発生も報告されています。
潜伏期は1〜2日で、嘔吐・腹痛・下痢・発熱(38度以下)などの症状が1〜2日見られます。嘔吐や下痢が続く場合は、脱水症状を起こさないように、十分な水分補給を行います。
予防のためには、貝類はしっかり加熱調理し、調理後すぐに食べること、生の貝類を扱ったらよく手を洗い、次の食品や調理器具に二次汚染が広がらないようにすること、包丁、まな板その他の調理器具はしっかり洗い、熱湯か消毒液(次亜塩素酸ナトリウムなど)で消毒することなどが必要です。
また、普段から排便後やおむつかえの後、調理前や食事前などによく手を洗うことは、この病気をはじめ、病原体が口から入ってくる感染症の予防のために大切な習慣です。
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