福岡県感染症発生動向調査情報

第49週分(平成12年12月4日〜12月10日)

サルモネラ感染症

今年第49週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎の報告が最も多くなっています。インフルエンザの報告は32件で先週より26件増加しています。

今週は、感染性胃腸炎を起こす原因の一つであるサルモネラ感染症(このうち腸チフスやパラチフスなどのチフス性の疾患を除いたもの)についてお話します。

サルモネラは腸内細菌の一つで、急性胃腸炎や食中毒を起こす原因となります。

サルモネラによる急性胃腸炎の症状は、先週取り上げた小型球形ウイルスなどの他の原因による胃腸炎より重症になりやすく、回復も遅れる傾向があるといわれています。

潜伏期は6〜72時間(通常半日〜3日ぐらい)で、急に38度を越える発熱、頭痛、腹痛、水様性の下痢、血便、嘔吐などが見られます。高熱や下痢のために脱水がみられ、重症になると意識障害、けいれんなどを起こすことがあります。乳幼児や高齢者、また免疫力が低下している人の場合はとくに注意が必要です。

感染源としては、多くの家畜やペット(イヌ、ネコ、カメなど)がこの菌を保有しており、汚染された食肉や、感染している動物の糞に汚染された食品や水、また、卵などで十分加熱処理されていないもの、ネズミの糞やゴキブリに汚染された食品などの摂取によって感染が起こります。

治療としては、まず、発熱や下痢による脱水を防ぐために水分の補給を行いますが、重症例や小児や高齢者や糖尿病など免疫が低下している人、食品を取り扱う仕事に従事している人の場合などには抗菌薬を使います。

予防としては、家畜のサルモネラ感染を防止する、肉の検査やそれを取り扱う業者の衛生管理を十分行う、卵を含む動物性食品は完全に加熱する、食品の取り扱い前・中・後には手洗いを徹底する、食品がネズミやゴキブリに汚染されないようにする、ペットなどを扱ったら手洗いをするなどがあります。

また、感染している人は、感染を広げないために、食品を取り扱う仕事や、幼児・高齢者の介護などを避けることが必要です。