福岡県感染症発生動向調査情報

第50週分(平成12年12月11日〜12月17日)

川崎病

今年第50週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎の報告が最も多くなっています。インフルエンザの報告は32件で先週と同数でした。

今週は、感染症発生動向調査の対象疾患の一つである川崎病(急性熱性皮膚リンパ節症候群)についてお話します。

この病気は、1967(昭和42)年に日本の川崎富作医師が初めて報告したことにちなんで川崎病と名付けられました。原因はまだ不明ですが、何らかの感染症ではないかと考えられています。

日本では1960年ごろから発生が始まり、1970年頃から1985年まで急増し、その後は、全国で年間5,500人前後の患者が発生しています。

患者さんのうち4歳以下の子どもが約8割を占め、とくに1歳前後の発生が多くなっていますが、成人が発病することもあります。

川崎病の特徴として、5日以上続く発熱、手足がむくんで指先がはじめ赤くなり、その後赤くなった部分の皮がむけてくる、発疹、両方の眼球(結膜)が赤くなる、口唇や舌やのどが赤くなる、頸のリンパ節がはれるなどの症状がみられます。

この病気は全身の血管に炎症が起こりますが、心臓の冠動脈にも炎症が起こって、冠動脈瘤が後遺症として残る人がいます。以前は川崎病にかかって人のうち30%に起こるといわれていましたが、治療法の進歩などにより現在は10〜20%程度といわれています。冠動脈瘤が残った場合、狭心症や心筋梗塞を起こすことがあり、その後も慎重に経過観察をする必要があります。

治療としては、はじめは炎症を抑える薬などが使われますが、冠動脈瘤がある場合は、狭心症や心筋梗塞の予防のために、血液が固まらないようにする薬を使われたり、手術をする場合もあります。発病初期に炎症を早く抑えることが大切だといわれています。