福岡県感染症発生動向調査情報

第2週分(平成13年1月8日〜1月14日)

非定型抗酸菌症

今年第2週の感染症発生動向調査情報では、水痘、流行性耳下腺炎、麻しんの報告が増えています。また、性器クラミジア感染症や淋菌感染症などの性感染症の報告も増えています。インフルエンザの報告は83件で、先週よりも少なくなっています。

今週は、非定型抗酸菌症(非結核性抗酸菌症)についてお話しします。

非定型抗酸菌は、結核の原因となる結核菌や、ハンセン病の原因となるらい菌と同じ「抗酸菌」という菌の一つで、その中にいくつかの種類があります。

非定型抗酸菌は、土壌や水などの中に広く分布する菌で、この菌を吸い込んで感染が起こると考えられています。地域的には、北海道や東北に少なく、西日本に多い傾向があります。この菌は、結核菌と違って、一部の種類を除いてヒトからヒトへ感染することはほとんどありません。

また、感染しても通常は発病することはまれだといわれていますが、体を守る免疫が低下している人、例えば、高齢で体力や免疫力が落ちている場合、AIDSや糖尿病、抗がん剤など免疫を低下させる薬を飲んでいる場合は発病することがあり、最近は増加傾向にあるといわれています。

非定型抗酸菌症の症状は、結核と似ており咳・痰・発熱などですが、微熱や体重減少が見られたり、場合によってはほとんど症状がなく、結核健康診断などにおける胸部レントゲン検査で発見される場合もあります。

胸部レントゲン写真も、結核とよく似ているため、どちらの病気かを判断するには、菌の検査が必要です。

治療には、結核の治療に使う薬(抗結核薬)や抗菌剤などいくつか組み合わせて使います。結核よりも抗結核薬が効きにくい場合が多く、治癒までに1年ほどかかることもあります。

非定型抗酸菌症も結核も、早期発見・早期治療が大切で、そのためには、胸部レントゲン検査を含む住民検診や、職場の健康診断を毎年受け、異常がないことを確認すること、もし異常を指摘された場合は、なるべく早く医療機関を受診することが大切です。