福岡県感染症発生動向調査情報

第3週分(平成13年1月15日〜1月21日)

ハンセン病

今年第3週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎、水痘、流行性耳下腺炎、麻しんの報告も減っています。インフルエンザの報告は96件でした。

今週は、ハンセン病についてお話しします。

ハンセン病は、結核と同じ抗酸菌の仲間である「らい菌」という病原体によって起こり以前は「らい病」と呼ばれていました。

現在、全国の15カ所の療養所に、約4,600人の方が入所しており、ほとんどの人はハンセン病は治っていますが、後遺症の治療のために療養生活を送っています。

ハンセン病は、遺伝性の病気ではなく、らい菌をたくさん排出している患者との濃厚な接触をした場合、菌を吸い込むことによって感染が起こると考えられています。

潜伏期間は数週間から数十年(平均3〜5年)と比較的長く、症状としては、全身(特に顔面)の皮膚に、少し赤みを帯びて盛り上がったかたまりのようなものが多数できたり、ただれたようになったりします。また、(末梢)神経の障害も起こり、痛みや冷たさなどの感覚が鈍くなることがあります。

治療法としては、いくつかの薬を組み合わせたものが有効で、原則として外来治療が行われています。

日本では、この病気に対して1907年(明治40年)に法律ができ、まだ有効な薬で治療が行われていなかった1953年(昭和28年)に「らい予防法」に改正され、医師が診察した際に伝染のおそれがある場合、患者は療養所に入所させられていました。

ハンセン病の患者は、その症状や後遺症による身体の変形などによって、長い間差別と偏見にさらされてきました。

しかし、この菌は感染力が弱く、感染しても発病することは稀で、また適切な治療によって治る病気です。1996年(平成8年)にこの法律は廃止され、現在、病気や患者に対する正しい知識や理解が求められています。