福岡県感染症発生動向調査情報

第8週分(平成13年2月19日〜2月25日)

ポリオの予防接種

今年第8週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告は709件で、増加しており引き続き注意が必要です。

今週は、ポリオワクチンの予防接種についてお話しします。

ポリオワクチンは、予防接種法に定められた定期接種の一つで、接種の対象年齢は、生後3〜90か月(生後3〜18か月の接種がすすめられられる)で、この間に6週以上の間隔をあけて2回接種します。生ワクチン(ポリオウイルスの毒性を弱めて作ったワクチン)を飲む方法で、春と秋に市町村の保健センターなどで集団接種が行われます。

ポリオは、急性灰白髄炎と呼ばれ、ポリオウイルスの感染によって手足の麻痺などの症状を起こす病気で、以前は4歳以下の子どもに多く見られ小児麻痺と呼ばれました。

ポリオは昔からある病気でしたが、20世紀に入ってからスウェーデンや米国で大きな流行が起こり、日本では、明治時代から患者がみられ、戦後には年間約3,000人の患者が発生していました。1960年(昭和35年)に北海道で大きな流行があり、翌1961年(昭和36年)からポリオワクチンが定期接種に加えられ、接種が始まりこれによって患者は激減しました。

平成12年10月29日に、世界保健機関(WHO)は、日本を含むアジア太平洋の37カ国・地域におけるポリオ根絶宣言を発表しました。これは1994年の南北アメリカに続くものですが、それ以外の地域では、まだ根絶宣言は出ておらず、海外での感染を防ぐためにも、また、海外で感染した人からの感染を防ぐためにも、ポリオワクチン接種はぜひ受けてください。

予防接種を受けた人の中にはごく稀に(440万分の1)手や足の麻痺が起こることがあります。また、ワクチンの接種後1か月ぐらいは、ウイルスが便の中に出ており、ポリオに対する免疫のない人に感染することが、ごく稀(580万分の1)に起こります。排便やおむつ交換の後、また食事の前などはよく手を洗い、ポリオウイルスが口から入らないように気をつけることが必要です。

また、予防接種は、子どもの健康状態のよいとき行いうことが大切です。下痢をしていたり、体調が悪いときは接種を見合わせましょう。