福岡県感染症発生動向調査情報

第9週分(平成13年2月26日〜3月4日)

結核の予防接種

今年第9週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告は965件で増加しており増加傾向は鈍化していますが注意は必要です。

今週は、結核の予防接種(BCG)についてお話しします。BCGは、1921年(大正10年)にCalmetteとGuerinによってウシ型結核菌から作られ、Bacille de Calmette et Guerinの頭文字をとってBCGと命名され、日本では結核予防法にもとづき、1951年(昭和26年)から接種が始まりました。

平成11年現在、1年間に結核にかかる人は、福岡県では1,845人(全国では43,818人)で、そのうち60歳以上の人が最も多く1,078人(58.4%)ですが、14歳以下の子どもたちも16人(0.87%)含まれています。

BCGの接種は、生まれてから4歳未満まで、小学校1年生、中学校1年生に、いずれもツベルクリン反応検査が陰性の人に行います。このうち小学校1年生と中学校1年生で、BCG接種を受けた人は、翌年(小2,中2)にツベルクリン反応検査を行い、陰性であればBCG接種を行います。

ツベルクリン反応検査を行った結果、強い反応(注射部位が大きく赤く腫れる、それと同時に水ぶくれや出血が見られたり二重に赤くなる)が見られた場合は、結核の感染の疑いがあるとして胸部レントゲン検査などの精密検査を受けます。

精密検査の結果、結核を発病していないけれども、感染が考えられる場合は、結核の発病を予防するために、予防薬を6か月程度飲みます。結核を発病していなければ、周りの人に結核をうつすことはなく、日常生活や学校もこれまでどおり続けられます。

BCGは、乳幼児の結核性髄膜炎や粟粒結核など、死亡したり、後遺症を残すような重症の結核の予防のためには60%以上の有効性があり、家族内の感染予防効果も60〜70%程度あるといわれています。これらの予防のために、なるべく1歳までの早い時期にBCG接種を受けることをおすすめします。

また、ケロイドになりやすい体質の人は、BCG接種跡がケロイドになることがあるので、かかりつけの医師や接種にあたる医師によく相談して接種を受けましょう。