福岡県感染症発生動向調査情報

第12週分(平成13年3月19日〜3月25日)

C型肝炎

今年第12週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告は1,171件で、先週の80%と減少しています。また、感染性胃腸炎も先週の67%と減少しました。

今週は、C型肝炎についてお話しします。

肝炎とは、肝臓に炎症がおこって肝臓の細胞が壊れ、肝臓の働きが悪くなる状態をいいますが、肝炎の原因としては、ウイルスやアルコール、薬剤などがあります。このうち、C型肝炎を起こすC型肝炎ウイルスは、以前は非A非B型肝炎ウイルスと呼ばれていましたが、1988年(昭和63年)からC型肝炎ウイルスと呼ばれるようになりました。

C型肝炎ウイルスは、主に感染している人の血液が、他の人の血液内に入ることによって感染します。例えば、C型肝炎ウイルスが含まれている血液(先週報道された非加熱の凝固因子製剤も含む)の輸血などを行ったり、C型肝炎ウイルスに感染した人に使用した器具を、適切な消毒を行わずにピアスの穴をあけるために使用したり、注射器や注射針を共用したりするなどの行為によって感染します。また、非常にまれですが、性行為でうつることがあります。しかし、C型肝炎ウイルスに感染している人と一緒に食事をしたり、キスしたり、握手をしたり、一緒に入浴したりしても感染しません。

C型肝炎ウイルスに感染していても症状がない場合が多くあります。感染しているかどうか、血液検査でC型肝炎ウイルスの抗原や抗体を調べたり、肝臓の細胞が壊れたときに出てくるASTやALT(以前はGOT、GPTと呼ばれていました)などを調べます。

C型肝炎ウイルスに感染すると、多くの人が持続感染の状態となり、40歳以上で持続感染している100人が治療せずに放置した場合、65〜70人が慢性肝炎となり、20〜30年後には10〜16人が肝硬変となり、さらに肝硬変となったうち5〜10人が肝硬変や肝がんで死亡するという報告があります。C型肝炎の治療は、患者さんの年齢や病気の進行状態によって違いますが、インターフェロンといった抗ウイルス剤や、肝臓の細胞がウイルスによって損傷されることを防ぐ薬を使います。また、症状がなくても、定期的に検査を受け、病気の進行状況をみながら、必要なときに適切な治療を受けることが必要です。

C型肝炎に限らず血液を介して人にうつる病気はいろいろありますので、日常生活において注意をしましょう。