福岡県感染症発生動向調査情報

第13週分(平成13年3月26日〜4月1日)

学校において予防すべき感染症

今年第13週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告は709件で、先週の59%と減少しています。水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の多発が続いています。今週は、学校において予防すべき感染症についてお話しします。

学校において予防すべき感染症としては、学校保健法施行規則で、第1種〜第3種までの3つに分類されています。第1種は感染力が強く罹った場合に重症になる危険性が高い病気で、エボラ出血熱、ペストなど11種の病気があります。また、第2種は飛沫感染(咳やくしゃみなどのしぶきでうつる)する病気で、インフルエンザ、結核、麻しん(はしか)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、水痘(みずぼうそう)など8種類があります。第3種は学校において流行する可能性がある病気で、腸管出血性大腸菌感染症(O−157など)や流行性角結膜炎など3種類とその他の感染症があります。

これらの感染症にかかった児童・生徒については、学校長が出席停止をさせることができます。出席停止は、患者本人が治るまで治療させるためと、他の子どもたちに感染が広がることを防ぐためという2つの理由から行われます。出席停止の期間は、第1種の場合は、その病気が「治癒するまで」で、第2種は病気ごとに決められています。また、第3種は感染のおそれがなくなるまでとされており、医師から感染が弱いと判断された場合は登校できます。

学校において感染が広がらないようにするには、食事の前(調理や給食の準備の前)や排便後には石けんと流水を使って手洗いをすること、外出のあとはうがいをすること、プール前後にシャワーを使うことなど、日常の感染予防行動の必要性を、学校のみならず家庭においても子どもたちに理解させ、習慣となるような働きかけが大切です。

また、昨年の春に福岡県でも、結核の発病予防の薬を飲んでいる子どもたち(結核を発病しておらず周囲に感染を広げない)が通っている学校の児童が、他の学校の児童・生徒からいやがらせを受けたという報告がありました。学校や家庭、地域における病気や患者さんに対する正しい知識と理解が、患者さんや周囲の人への差別やいじめを防ぐために必要です。