福岡県感染症発生動向調査情報

第14週分(平成13年4月2日〜4月8日)

麻しん(はしか)

今年第14週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザは引き続き減少していますが、水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、手足口病、伝染性紅斑、麻しんの発生が続いています。今週は今年に入って報告数が増加している麻しんの流行状況と予防接種についてお話します。

日本において麻しんワクチン接種の普及により麻しんの発生は減少しており、年間発生数は約20万例と推定されています。福岡県において過去10年間では、平成3年と平成7年の2回流行がみられており、ほぼ4〜5年の間隔で流行しています。今年に入ってから麻しんはの報告は過去数年より増加しており、今年は流行の年に当たるのではないかと考えられます。

麻しんは冬から春にかけて流行するといわれていますが、福岡県においては、昨年は春から夏にかけて流行が見られており、今後も注意が必要です。

麻しんは急性で感染力が強い病気で、脳炎や肺炎を合併することがあり日本においても年間50例程度の死亡が報告されています。

日本において麻しんワクチンは、1978年(昭和53年)から、定期の予防接種となっており、生後12〜90か月(1歳〜7歳6か月まで)に接種が行われています。

ワクチンのその有効率は95%以上とされており感染を防止するために有効です。病気の発生を防ぐためには、予防接種率が90〜95%になることが必要と考えられていますが、日本では70%程度しか接種していない と推定されており、現在、世界中の子どもたちの接種率(約80%と推定)より低くなっています。

麻しんの合併症としては脳炎や肺炎などがあり、発症年齢が低いほど予後が悪いといわれており、1歳になったらなるべく早い時期に予防接種を受けておくことをおすすめします。

もし接種年齢でなくても接種が必要な場合は、「任意接種」として医療機関で接種を受けることはできますが、万が一予防接種によって健康被害が発生した場合には、定期接種のような市町村長からの給付(治療にかかった費用や年金)は受けられません。