福岡県感染症発生動向調査情報

第21週分(平成13年5月21日〜5月27日)

クラミジア肺炎

今年第21週の感染症発生動向調査情報では、手足口病がさらに増加しており、麻しん、流行性耳下腺炎などの発生が続いています。

今週は、クラミジア肺炎についてお話しします。クラミジア肺炎の原因は、クラミジア・ニューモニエ(肺炎クラミジア)です。クラミジアには、肺炎クラミジアのほかにも、いくつかの種類があり、性器クラミジアやトラコーマ(トラホーム)を起こすものや、オウム病を起こすものなどがあります。

肺炎クラミジアは、比較的最近(1989年)になって明らかになった病原体で、咳などにより飛沫感染(くしゃみや咳をした時に、そのしぶきを吸い込んで感染する)でヒトからヒトにうつります。インフルエンザなどとくらべて感染力は弱く、潜伏期は3〜4週間と長いといわれていますが、家族内や施設内での集団感染の報告もあっています。

肺炎クラミジアの感染によって、肺炎や急性気管支炎や、慢性的呼吸器疾患の増悪が起こります。最近では、肺炎クラミジアの慢性持続感染が、冠動脈(心臓の血管、これが狭くなったり詰まったりすると、狭心症や心筋梗塞を起こす)の疾患や、動脈硬化の発生や進行と関わっているのではないかと考えられています。

症状としては、長引く咳や、発熱(38度以下が多い)、鼻汁、声が嗄れるなどが見られます。若年者の場合は全身症状も軽いのですが、高齢者や基礎疾患を持っている人の場合は、重症化することがあります。治療には、抗生物質(テトラサイクリン系、マクロライド系)や抗菌剤が使われます。

予防のためには、他の飛沫感染を起こす病気と同様、うがいや手洗いの励行を心がけましょう。