福岡県感染症発生動向調査情報

第22週分(平成13年5月28日〜6月3日)

性器クラミジア感染症

今年第22週の感染症発生動向調査情報では、手足口病やヘルパンギーナは増加しており、水痘、伝染性紅斑、麻しん、流行性耳下腺炎の発生が続いています。今週は、性器クラミジア感染症についてお話しします。

性器クラミジア感染症は、主に性行為によって感染する病気(性感染症)の一つです。クラミジア・トリコマチスという病原体の感染によって、尿道、子宮(頸管)、卵管、肝臓の周囲の腹膜、直腸、咽頭(のど)などに炎症が起こります。また、この病気にかかっている母親の産道を通って生まれてきた新生児の結膜に炎症が起こることがあります。福岡県では、平成12年は、3月、6月、9月、10月の報告数がやや多くなっていました。 

この病気には、他の性感染症より症状が軽いため、気がつかないうちに感染していたり、逆に感染源となっているおそれがあり、また、いったん治っても、性パートナーとの間で感染を繰り返す(ピンポン感染と呼ばれます)という特徴があります。

症状としては、女性の場合、子宮頸管炎が起こると、下腹部の痛みや帯下(おりもの)の増加などが見られます。男性の場合、尿道炎が起こると、性器からの分泌物の増加や、排尿時の痛みなどがあります。また、慢性的な感染によって、骨盤の中に炎症が広がり(骨盤腹膜炎)、卵管などに癒着が起こり、不妊症や子宮外妊娠を起こすことがあります。

治療には抗生物質や抗菌剤が有効ですが、ピンポン感染を起こすことがあるため、性パートナーに症状がなくても、一緒に検査や治療を受けることが大切です。

性器クラミジア感染症に限らず、性感染症の場合は、不特定多数の人との性行為や、口唇と性器の接触を含めたコンドームを使用しない性行為は感染の危険を高めます。普段から安全な性行動を心がけましょう。また、自覚症状がある場合は早めに医療機関で検査や治療を受けましょう。