福岡県感染症発生動向調査情報

第23週分(平成13年6月4日〜6月10日)

腸炎ビブリオ食中毒

今年第23週の感染症発生動向調査情報では、手足口病の報告が依然として増加しています。また、突発性発しんなどの報告が増えています。しかし、ヘルパンギーナ、水痘、伝染性紅斑、麻しん、流行性耳下腺炎の報告は、いずれも先週より減少しています。今週は、腸炎ビブリオ食中毒についてお話しします。

食中毒は、細菌や毒物などが含まれた食品を食べたり、飲んだりして起こる中毒症の総称です。食中毒の原因としては、自然毒、混入毒物や細菌などがあります。このうち、細菌による食中毒は、「感染型」と「毒素型」の二つに分けて考えられています。

まず、「感染型」食中毒とは、細菌が腸の中に入って、腸で炎症を起こしたり、腸の中で増えるときに毒素を出したりするために、下痢などの症状を起こすものです。次に、「毒素型」食中毒とは、食品の中で細菌が出した毒素が、胃酸などで分解できずに腸の中に入って症状を起こすものです。

これらの食中毒のうち、腸炎ビブリオによる食中毒は、「感染型」食中毒の一つですが、原因が判明した食中毒の約3分の1を占めており、6〜9月に多く発生します。腸炎ビブリオという細菌に汚染された魚介類やその加工品を食べて感染します。潜伏期は、10〜20時間ですが、時には2〜3時間と短い場合もあります。症状としては、腹痛、下痢(水様性、粘血便)のほかに、発熱や嘔吐、頭痛などが見られることがあります。ほとんどが数日〜1週間以内に症状はおさまります。下痢や発熱で脱水を起こすため十分な水分や電解質の補給が必要です。

予防のためには、魚介類の取り扱いを衛生的にし、5℃以下で保存するなどに気をつけましょう。この菌は70℃で15分以上加熱すると殺菌できるので、十分な加熱によって感染が予防できます。しかし、魚介類を取り扱った手指や、まな板、包丁などの調理器具などについた菌が、サラダとして生食する野菜や食器について、そこから感染が起こる場合があるので、魚介類を取り扱う際は、手指や調理器具などをよく洗い、他の食品に感染が広がらないようにしましょう。