福岡県感染症発生動向調査情報

第27週分(平成13年7月2日〜7月8日)

コレラ

今年第27週の感染症発生動向調査情報では、増加を続けていた手足口病が今週は減少しています。夏休みに入って海外旅行を予定されている方もいらっしゃると思いますが、今週はコレラについてお話しします。

コレラは、コレラ菌という細菌が原因で、この菌が出すコレラ毒素によって、急性胃腸炎が起こります。日本では、海外(特に東南アジア)で感染し、帰国してから下痢などで発病する例が見られています。

症状としては、2〜3日の潜伏期のあと、突然、水のような下痢と嘔吐が始まります。何回も繰り返すため、水分と電解質(ナトリウムやクロール、カリウムなど)が失われて脱水を起こします。腹痛や発熱がないため、医療機関への受診が遅れる傾向がありますが、早めに治療することが大切です。特に、子どもやお年寄り、また過去に胃の切除を受けたり、慢性の胃の病気にかかっている人の場合は、放置すると重症になりやすいので気をつけてあげましょう。治療としては、輸液と抗菌剤が使われます。また、市販されている一部のスポーツドリンクは、高熱などによる脱水に対しては、効果があるものもありますが、下痢の場合は、便から多量の電解質が失われるため十分ではないので注意しましょう。

感染経路としては、経口感染で患者の便から出されたコレラ菌が、食物や水、手指などを介して口から入ることによって感染します。感染後1週間前後、主な症状が消えてからも数日間は、便から菌が出されます。この間は感染が広がらないように、排泄後やおむつ換えの後、調理や食事の前などには、十分手洗いをしましょう。

感染予防のためには、流行している地域を旅行する際は、生ものや生水の飲食をさけましょう。コレラの予防接種は福岡検疫所で受けることができます。また、福岡検疫所では、海外渡航者に対してコレラ以外の予防接種も行っていますが、必ず予約が必要ですので事前に下記まで連絡・ご相談ください。

*福岡検疫所予防接種専用ダイヤル 電話 092−291−3585
  受付時間 9:30〜11:00、13:30〜16:00(土日、祝日を除く)