福岡県感染症発生動向調査情報

第28週分(平成13年7月9日〜7月15日)

梅毒

今年第28週の感染症発生動向調査情報では、手足口病は福岡県では先週に引き続き減少していますが、全国的には増加中です。今週は、梅毒についてお話します。梅毒は、梅毒トレポネーマという病原体によって起こる病気で性感染症の一つですが、性行為以外でも感染する場合があります。例えば胎児が感染している母親から胎盤を介して感染したり、医療従事者が(皮膚に傷がある)手指より感染する場合などがあります。

ひとことで「梅毒」といっても、感染の時期や感染してからの期間、症状によっていろいろな名前で呼ばれます。感染時期として、胎児が子宮内で感染したものを先天梅毒といい、それ以後の時期に感染したものを後天梅毒といいます。また、感染してからの期間としては、感染後2年以内を早期梅毒といい、それ以降を晩期梅毒といいます。

早期梅毒は、さらに第1期(初期)と第2期に分けられます。第1期(感染してから10〜90日後)には、感染部位に硬性下疳(こうせいげかん、皮膚や粘膜がすこし盛り上がって表面にびらんを伴った湿疹ができる)が見られたり、リンパ節が腫れることがあります。これは放置していても4〜6週間で自然に消失しますが、放置せずに早期に医療機関で治療を受けることが大切です。第2期(感染後平均3か月から)に入ると、全身にバラ疹と呼ばれる桃色の発疹が見られ、同時にリンパ節が腫れたり、発熱や関節痛が見られることがあります。また、晩期梅毒では、心臓、血管、神経などに病変が見られ後遺症を残すことがあります。

治療としては、長期に大量の抗生物質(ペニシリン)の投与などが行われますが、性パートナーも同時に検査を受け、感染していた場合には同時に治療を受けることが必要です。また、自己判断で治療中断せず、完全に治療することが大切です。

予防としては他の性感染症と同じで、複数の性パートナーを持たない、コンドームを正しく使用することが大切です。感染の心配があるときは、早めに医療機関で検査を受けましょう。福岡県の保健所(北九州市、福岡市、大牟田市を除く)でも、梅毒の相談や検査を受けることができます。ただし、保健所によって相談日や時間が異なりますので電話等で確認してください。