福岡県感染症発生動向調査情報

第29週分(平成13年7月16日〜7月22日)

淋菌感染症

今年第29週の感染症発生動向調査情報では、手足口病が3週連続で減少しています。細菌性胃腸炎が増加していますので、食品の取り扱いや手洗い等の注意が必要です。

今週は淋菌感染症についてお話します。淋菌感染症は淋菌という細菌で起こる感染症で性感染症の一つです。福岡県においては、ここ数年定点あたりの報告数(患者が発生した場合に県に報告をお願いしている医療機関1か所あたりの報告数)が増加傾向にありましたが、平成12年はやや減少しています。また、平成12年において、男性で50%以上、女性で70%以上が10〜20歳代で、性行動が活発な若い世代の占める割合が多くなっています。

淋菌感染症にかかると、男性には尿道炎が起こり、女性には子宮頸管炎が起こってくることが多いのですが、症状としては男性の方が女性より重いといった差があります。

男性の場合は、感染後数日から1週間前後してから尿道にかゆみや熱っぽい感じがあり、尿道口からは粘液が出てきます。しだいに尿道口が赤くなり、緑色の膿が出て、排尿時に痛みを伴うようになります。女性の場合は、男性より軽いことが多く、感染後数日で帯下(おりもの)が増える程度で、気がつかないままのこともあります。これを放置しておくと炎症は広がり、男性の場合は前立腺炎を、女性の場合は尿道や子宮内膜、卵管、卵巣や骨盤腹膜に炎症を起こし、不妊や子宮外妊娠の原因となることがあるので、気になる症状があったら放置せず、早期に医療機関で治療を受けることが大切です。

また、淋菌感染症の15〜30%に性器クラミジア感染症の混合感染がみられるという報告もあり、淋菌感染症にかかっていると診断された場合、クラミジアの検査も一緒に受けることをおすすめします。

淋菌感染症を含む性感染症の予防のためには、普段から安全な性行動(コンドームの正しい使用、複数のパートナーを持たないなど)を心がけるなどに気をつけましょう。