福岡県感染症発生動向調査情報

第30週分(平成13年7月23日〜7月29日)

エイズ(感染者・患者の報告状況)

今年第30週の感染症発生動向調査情報では、手足口病が連続で減少しています。腸管出血性大腸菌感染症の報告が続いており、食品の取り扱い、手洗い等引き続き注意が必要です。

今週はエイズ(後天性免疫不全症候群)の感染者・患者の報告状況についてお話します。この病気では、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって、ヒトの体を守る免疫をコントロールする細胞が破壊され、免疫が働かない状態となります。

1981年に世界で初めてエイズ患者が報告され、2000年末までに全世界でHIVに感染した人は約5,790万人、このうち生存している人は3,610万人で、死亡した人は2,180万人と推計されています(いずれも累計)。また、2000年1年間に新たに感染した人は530万人と推計されています。

日本において、今年の6月24日現在までに報告された数は、HIV感染者は5,610人、エイズ患者は2,712人で、6月末現在までの死亡数人は1,225人でした(いずれも累計)。

最近の3か月(平成13年3〜6月)の報告では、感染者では20〜30歳代、患者では30歳代の占める割合が高くなっていました。性別では、女性は異性間性的接触によるものが、男性では異性間・同性間性的接触がともに増加傾向にありました。

福岡県においては、今年の6月末現在までに報告された数(累計)は、HIV感染者は50人、エイズ患者は24人です。内訳としては、感染者では30歳代が17人と最も多く、次いで20歳が14人でした。患者では40歳代が9人、次いで50歳以上が8人でした。感染者、患者ともに同性間の性的接触よりも異性間の性的接触よるものが多く報告されています。

また、献血の血液は必ずエイズ検査を行い安全性が確認されてから使用されていますが、2000年の献血件数は全国で約587万件で、このうち67件がエイズ検査が陽性でした。エイズ検査陽性の割合は、献血10万件あたり1.14で、毎年この割合は増加傾向にあります。エイズ検査陽性の血液は焼却処分され輸血には使用されていませんが、HIVに感染している可能性がある場合は、献血を避けエイズ検査を受けましょう。

保健所ではエイズの相談や検査を無料で受けられます。県内どこの保健所でも相談や検査が受けられますが、保健所によって曜日や時間帯が違うので、事前に電話で確認(予約が必要な場合がある)をしてから行くことをおすすめします。