福岡県感染症発生動向調査情報

第34週分(平成13年8月20日〜8月26日)

尖形コンジローム

平成13年第34週の感染症発生動向調査では、お盆休み明けの影響で多くの疾患の報告が増加しています。流行性耳下腺炎の報告が続いており、引き続き注意が必要です。今週は、性感染症の一つである尖形コンジロームについてお話します。

尖形コンジロームは、ヒトパピローマウイルスの感染によって起こります。主な感染経路は性行為で、性感染症の一つです。このウイルスが性交時の直接接触の際に、皮膚や粘膜の小さな傷から入ってくると考えられています。潜伏期間は1〜6か月ですが、2〜3か月のことが多いといわれています。

症状としては、痛みのない表面に光沢がある「いぼ」が、外陰部の皮膚や粘膜にできます。通常は、大きさが直径数ミリから大豆大までとさまざまで、単発の場合も、多発する場合もあります。発生部位としては、陰茎や肛門などのほかに、腟や外尿道口(尿の出口付近)、子宮(頸部)などにもできます。このうち、子宮(頸部)にできた場合は、子宮(頸)がんとの関連も指摘されており、経過観察が必要となる場合もあります。

尖形コンジロームの治療としては、局所麻酔をして切除(外科的切除)したり電気メスで焼いたりする方法、液体窒素をつけ凍結させて取ってしまう方法、レーザーを使った方法があります。また、欧米ではポドフィリンといった薬を塗る方法がありますが、日本では行われていません。その他、物理的に取ることが難しい場合は、フルオロウラシル軟膏といった薬を使ったり、再発を繰り返す場合は、インターフェロンを使う方法もありますが、これらは副作用が強いため、通常は切除や凍結などの物理的な治療が主に行われています。尖形コンジロームは再発しやすいため、治療法もその症状や広がりに応じて選択されています。

また、尖形コンジロームにかかっている場合、他の性感染症にも同時にかかっている場合がありますので、それらも同時に調べることをおすすめします。尖形コンジロームも他の性感染症と同じように、互いに相手にうつしあうピンポン感染が起こることがあるため、性パートナー同士も一緒に検査を受け、同時に治療を受けることが大切です。