福岡県感染症発生動向調査情報

第37週分(平成13年9月10日〜9月16日)

結核(感染と発病)

平成13年第37週の福岡県感染症発生動向調査情報では、流行性耳下腺炎の流行はまだ続いており、また、マイコプラズマ肺炎の報告も多くなっています。9月24日から結核予防週間が始まりましたが、今週は結核の治療についてお話しします。

結核は、結核菌の感染によって起こる病気です。結核の中では、肺結核がよく知られていますが、全身性の粟粒結核や、胸膜やリンパ節、骨、腎臓などの肺外の臓器に起こる肺外結核があります。

主な感染経路は「飛沫核感染」です。飛沫核感染とは、患者の咳やくしゃみなどによって、結核菌を含んだ飛沫が空中に広がり、この飛沫の水分がなくなって結核菌が空中に浮遊し、それを吸い込むことによって感染が起こるものです。

感染すると、多くの人は自分の免疫の力で結核菌の増殖を押さえ込んで発病せずにすみますが、免疫が低下した人や、免疫の力で押さえ込めないほど多量の結核菌が体に入ってきた時などは、数ヶ月後に発病します。発病せずにすんだ場合も、加齢や、糖尿病や胃潰瘍などの病気、がんの治療などで体の抵抗力が低下すると、菌が再び増えて発病することがあります。結核菌に感染した人のうち、一生の間に発病するのは、約4分の1といわれています。

結核を発病していても、入院治療が必要な場合と、外来治療でよい場合があります。結核菌を体の外に出していて、周囲に感染を広げる危険性が高い人は、咳をしているのと同時に、痰の検査などでたくさんの結核菌が見つかっている患者さんです。この場合は、菌を出さなくなるまで入院治療が必要です。

また、結核は発病していても、結核菌を体の外に出していない場合は、きちんと治療をしていれば、周囲に感染を広げる危険性が低いので、外来治療でよい場合があります。

さらに、これらの発病している人とは別に、結核の感染の疑いがあり、発病を予防するために「予防内服」を受けている人がいますが、この場合は、結核を発病しているわけではないので、周囲に感染を広げることはありません。体の抵抗力を著しく低下させるようなことを避ければ、予防内服を始める前と同じような日常生活をおくることができます。

上記のように、結核を発病していたり、予防内服を行っている場合、治療費の一部について公費負担制度があります。詳しいことについては、最寄りの保健所(結核・感染症担当係)におたずねください。