福岡県感染症発生動向調査情報

第39週分(平成13年9月24日〜9月30日)

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

平成13年第39週の福岡県感染症発生動向調査情報では、多くの疾患が減少傾向ですが、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ肺炎は発生が続いています。また、流行性角結膜炎の報告も続いており、今後も注意が必要です。

さて、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)については、3〜5年の周期で流行しており、第16週(平成13年4月16〜22日)の時点で、今年は流行の年にあたるだろうと予測されていましたが、その後も高い値で増減を繰り返し、第31週(平成13年7月30日〜8月5日)をピークに、しだいに減少する傾向を示しています。しかし、今週も定点あたりの報告数は、昨年同時期の2倍弱となっており、引き続き注意が必要です。

流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによって起こる病気で、患者さんとの直接接触や、飛沫感染でうつるといわれています。発病した場合、発熱と耳下腺の腫れのため、食欲が落ちて脱水を起こすことがあるため、水分の補給に気をつけること、また、無菌性髄膜炎を起こすことがあるので、安静を心がけることなどの注意が必要です。さらに、思春期以降では、精巣(睾丸)炎、卵巣炎、膵炎などの合併症を起こしやすく、まれですが、男性の場合は、精巣炎が不妊の原因となることもあるといわれています。

流行性耳下腺炎の予防のためには、おたふくかぜワクチンがあります。このワクチンは、現在、任意接種(予防接種法などで定められた定期予防接種以外の予防接種。受けたい人が自分でお金を支払って受ける)となっています。昭和63年12月〜平成5年4月までは、MMRワクチン(麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン)として、定期予防接種として接種ができるようになっていました。接種対象は、生後12か月〜72か月までで、生後12か月以降に、麻しんワクチンを接種する場合に、麻しんを単独で接種するか、MMRを接種するか選択できるようになっていました。しかし、MMRワクチンは、接種した後の副反応(無菌性髄膜炎)の報告が続いたため、当時の厚生省は一時接種を見合わせることにしました。

流行性耳下腺炎の患者の約85%は15歳以下で、その中でも3〜8歳が多いという報告がありますが、MMRワクチンの接種を定期接種として受けることができた人は、現在、9歳(小学校4年生)〜18歳となっています。これまで、流行性耳下腺炎にかかったことがなかったり、予防接種を受けたことがない人(母子手帳などに記録されている)で、おたふくかぜワクチンの接種を希望される場合は、かかりつけ医など、予防接種を受けることができる医療機関に相談することをおすすめします。